妄想女子

娘は中学1年生。毎日楽しそうに学校に通っているのはいいのだが、勉強は苦手なようだ。特に数学と理科が苦手だ。この前は期末テストの理科の点数が48点で、妻にひどく叱られて泣いていた。

 

得意なのは国語。普段家で会話していても、いろんな言葉を知っているし、かいつまんで要約して説明するのもうまい。例えの言い回しも気が利いている。

 

この前、晩御飯の時に話しをしていたら、彼女は「妄想ノート」を持っていることが判明した。湧き上がる妄想を毎日ノートに書き込んでいるそうだ。書き始めるとやめられなくなって勉強が手につかないので、試験期間中は妄想ノートをベッドの下に押し込んで封印しているそうだ。妄想の内容は、お父さんは日本でサラリーマン、お母さんはニューヨークの国連職員、子供は日本のおばあちゃんのところで暮らしている・・・。とキャラクターを設定して物語を作っているらしい。

 

「一度読ませてよ。」と言ったら「ダメ。」と即座に断られた。妄想は浮かぶがままに放っておくと、暴走して日常生活に支障をきたすので、その都度ちゃんとノートに書き留めて成仏させるように、とアドバイスしておいた。

 

今日も、振り替え休日で一人で家にいたら、「パンがオーブンの中でふわーっと膨らむように、妄想が広がってしまって大変だっった。」そうだ。

 

娘、大丈夫か。

 

長平

尾張町のおでん屋さん。姉妹二人で切り盛りされている。メニューはおでんとカウンターに並んでいるお惣菜がいくつか。金沢駅周辺のおでん屋さんはいつも混んでるし、ここはお惣菜もおいしいのでちょくちょく通うようになった。

 

最近のお気に入りはナマコ酢。ナマコの薄切りと大根おろしを酢の物にしたもの。ゆずが効かせてあって量もたっぷりなのでナマコ好きにはたまらない。これで燗酒を飲む。おでんは、いものこ(里芋)が味がよくしみておいしかった。さつま揚げも厚揚げも大ぶりなのがいい。

 

常連さんとお店の人との会話が地元密着で面白い。近江町市場は観光客向けの立ち食い屋台のようになってしまい、普段の買い物に行くような雰囲気でなくなってしまった。地元の人は、向かいのデパート、エムザの地下食品売り場に流れているらしい。

 

ナマコ酢とおでん(さつま揚げ、いものこ、車麩)で、お酒2合飲んで1,900円でした。

 

 

暗がり坂

仕事帰りに、尾張町のおでん屋さん「長平」に寄っていこうと、尾張町の裏通りを歩いていると、向こうから若い女性が歩いてくる。スマホ片手に道に迷っている様子。観光客かと思いつつも、そのまますれ違おうとすると、スマホを見せながら英語で話しかけられた。日本人かと思ったら中国からの観光客だったようだ。

 

スマホの画面の「暗坂」と「明坂」を指差してここに行きたいと言う。尾張町から主計町へと降りていく坂道、「暗がり坂」と「あかり坂」のことか。確かに尾張町からだとどちらも入り口がわかりづらい。暗がり坂は神社の横をずっと入ったところだし、あかり坂も住宅の入口にしか繋がっていないような細い路地の奥にある。

 

OK. follow me. と言って、暗がり坂につながる神社へ向かって歩き出す。日が暮れて辺りは暗いし、神社の奥の人目につかないところへ連れて行くことになるので、変に意識してしまい無言で歩く。ようやく、坂の降り口までたどり着き、This is Dark slope.というと、にっこり笑って、Thank you.と言われて別れた。

 

どこから来たの?とかもっと話せばよかったかな。それにしても、暗がり坂なんてマニアックな場所をよく調べて来たもんだ。でも、若い女の人が、異国の地で夕暮れの路地裏をウロウロするのは危険だろ。など考えながら引き返す。

 

金沢の街と人を信頼されていると受け止めることにした。そう思うと少しうれしい。

 

 

 

 

パンチェッタ

年末に仕込んだパンチェッタがいい色になってきたので味見した。作り方はこちらを参考にした。 

「1ヶ月で出来る自家製パンチェッタの本格熟成レシピ」<材料>

 

豚肉を塩漬けにして冷蔵庫で一ヶ月寝かせるだけだ。ポイントは、「ピチット」という商品名の食品用の脱水シートを肉に巻きつけておくこと。浸透圧の原理で肉の水分がシートに吸い取られていく。もう一つは、腐敗を防ぐため「ピチット」を取り替えるときなどに、こまめにアルコールで肉を消毒すること。

 

まずは薄くスライスしてフライパンで焼いてみる。肉から水分が抜けて随分赤身の色が濃くなった。塩気は少し強いけれど、熟成した旨みがたっぷり。朝食の目玉焼きにソテーしてつけると最高だろう。2品めはパンチェッタをダシにして白菜を煮てみる。脂の旨み、甘みが白菜に染み込んでたまらん。今のところお腹も痛くなっていないので腐ってることもなさそうだ。

 

カルボナーラにポトフ、シンプルに野菜炒めにも使ってみたい。今回は1キログラムの塊肉で仕込んだけれど、すぐに無くなりそう。次回は2キログラム仕込もうと思う。

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オカモト 業務用ピチット 32R(32枚ロール)

オカモト 業務用ピチット 32R(32枚ロール)

 

 

幻視の座 能楽師・宝生閑 聞き書き

 宝生閑は下掛宝生流のお家元で人間国宝にもなっている方。下掛宝生流というのはワキ方の流派。能楽では主役となるのがシテ方ワキ方シテ方の相手となる役割。

 

能には、諸国一見の僧がワキ方として登場し、ワキ方の夢の中に死んだ人の魂がシテ方の姿をとって現れる「夢幻能」という形式のものが多いそうです。この本のタイトルの「幻視の座」はそんなワキ方の役割を表したものです。

 

聞き役である著者はこの本の中で、宝生閑の能楽を見て感動して涙が止まらないとか、宝生閑の立ち姿を見、謡曲を聞いて能楽の場面が目の前にありありと立ち現れるようだと言っている。好きな人にはそんな感動を呼び起こすのかと思うが、見始めたばかりの私にはもう一つピンとこない。

 

しばらくは、わからないなりに能を見ていきたいと思う。

幻視の座―能楽師・宝生閑聞き書き

幻視の座―能楽師・宝生閑聞き書き

 

 

豚の味珍

 「豚の味珍」は、横浜駅の「きた西口」を出てすぐの所にある狸小路という飲み屋街の中にある。夕方の早い時間に行ったにもかかわらず、カウンター席は半分以上お客さんが座っていた。メインのメニューは豚の頭、耳、舌、胃、足、尻尾。サイドメニューとして白菜の漬物や皮蛋などがある。隣のお客さんが何食べてるか様子をうかがいつつ、頭と瓶ビールを注文する。

 

頭は豚の頭の皮と肉を丸めて棒状にしたものを醤油で煮込んでスライスしたもの。周りにゼラチン質の層で、中心部は赤身の肉だ。お店の人が「つけダレの作り方わかりますか?」と聞いてくれたので、素直に「初めてなのでわかりません。教えて下さい。」とお願いする。カラシを小さじに山盛り小皿にとり、酢を注いでカラシをとく。そこに醤油を少々たらして出来上がり。好みで辣油を追加してもいいらしい。

 

頭は、ゼラチン質の部分がベロベロした食感で面白い。肉の部分は意外とあっさりして食べやすい。あっさりしているのでビール飲みながらペロッと食べてしまったので、次は、尻尾を注文と焼酎を注文する。

 

 

尻尾は豚の尻尾を醤油で煮込んだものがぶつ切りになって出てくる。よく見ると中心部に骨が見える。一切れづつ口に入れてしゃぶりながら皮と肉を食べて骨だけ皿にもどす。こちらは脂身の旨味と皮のゼラチン質が相まって濃厚な味わい。梅シロッップで少し甘みをつけたストレートの焼酎と合う。

 

一皿のボリュームが結構あるので、この辺でお腹いっぱい。焼酎も効いてきて酔っ払った。他のお客さんを見ていると、肉もの一皿と白菜の漬物や皮蛋をつまみながら焼酎を飲んでいる。これなら1500円もあればへべれけに酔えそうだ。

 

横浜駅にも近いし、安くて旨くて居心地もいいので、また来ることになりそうだ。

www.maichin.jp

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白湯

この季節、朝起きぬけに白湯を飲むのが楽しみだ。鉄びんに水を入れてガスにかける。火は鉄びんの底に接するか接しないくらい。弱めの中火くらい。5分ほどでシュー、シューと湯が沸く音がする。この音のことを、お茶の世界では「松籟」といい、松林を風が通り抜ける時の音にたとえる。アルミやステンレスの薬缶からはでない音色だ。カルキ成分を飛ばすため、松籟を聞きながらそのまましばらく沸騰させておく。

 

急須で一旦受けてから湯呑みに注ぐ。少し冷めたぐらいのところを呑む。もわっとしたお湯が、前の晩の酒で疲れた胃袋の襞一枚一枚を優しく包んで染み込んでいく。お茶だと胃袋に吸収されるときに少し抵抗があるような気がする。

 

ストーブの前では黒猫が寝ている。

能はこんなに面白い!

時々、休日の午後に能楽堂に出かけて、椅子に座って半分居眠りしながら能を見る。謡の内容もよくわからないけれど、その場の雰囲気に浸っているのが心地よい。先日も金沢能楽会の定例能で「翁」を見てきた。いつもより豪華な衣装を着たたくさんの人が舞台に上がってにぎやかだなぁと思っていたら、「翁」は能の中でもお正月などの特別な時にだけ上演される演目だそうだ。

 

もう少し能のことについて知りたいと思いこの本を手に取った。著者の内田樹は評論家で武道家。観世流の能の稽古を20年くらい続けているそうだ。内田さんが観世流のお家元、観世清和さんと対談しながら、能をやっている人の立場から能の魅力を語る。「舞台の上は、場所によって空気の密度が違う。演者はその違いを感じながら舞う。」、「能は中世の人々の身体操作技法を現在に伝えている。」など実際にやっている人ならではのコメントが興味をそそる。舞台上でシテが倒れた場合には後見人が即座に引き継いで能を最後まで舞わなければいけないということも初めて知った。

 

今度は、しっかりストーリーやセリフを予習してから見に行ってみよう。全く知らない人にとっての入り口としてお手頃な本です。

能はこんなに面白い!

能はこんなに面白い!

 

 

1月9日に金沢能楽会の定例能に行ってきた。娘が金沢市の子供能楽教室に通っていたのをきっかけに能の公演に行き始めた。休日の午後、能楽堂の椅子に座って半分居眠りしながら能楽を見物するのが最近の密かな楽しみになっている。

 

今回の番組の「翁」は新年など特別な時にだけ舞われる別格の演目。神事なので途中の出入りはできないそうだ。地謡囃子方も羽織や、引きずるほど裾が長い袴など普段は見たことがない衣装だった。シテが素顔で登場して、舞台上で翁の面をつけて舞い、終わったら舞台上を外すという他の演目にはない流れとなる。

 

会場は着物の女性もいて正月らしい雰囲気がいっぱい。謡の教本を広げている方や、学生さんや外国人の方もいて満席。追加で折りたたみ椅子を入れていた。たくさんのお客さんに驚いた。

 

能は翁と西王母、野守の3番、狂言は「福の神」。今回も途中何度も睡魔に負けてしまいそうになったけれど、この夢現つの状態で過ごす時間が心地よい。

http://www.kanazawanohgakukai.jp/pdf/teirei2017_01.pdf

うろ覚えグローブトンテキ

ふとグローブトンテキを食べたくなり、日曜日の晩ご飯に作ってみた。グローブトンテキは、分厚めの豚ロース肉をステーキにしてウスターソースをベースにしてニンニクを効かせたソースで味付けしたもの。三重県四日市が発祥で、肉に切れ目を入れた姿が野球のグローブに似ているのでグローブトンテキと言うらしい。

四日市とんてき - Wikipedia

 

東京で一度食べた記憶をもとに作ってみた。スーパーで豚ロースを買う。ちょっと奮発して国産のちょっと分厚めのを4枚。肉の筋を切るように包丁の先でつついた後で、脂身の方から切れ目を3本入れる。フライパンに油を入れて薄切りにしたニンニクを炒めて肉を投入。両面をこんがり焼いたところで、日本酒とウスターソースを入れて煮詰めながら肉に絡める。ウスターソースが濃縮された黒々としたテリが食欲をそそる。付け合わせのレタスとポテトサラダと一緒に皿に盛り付けて出来上がり。

 

とんかつよりも簡単でボリュームもあり、子供達にも好評だった。

二宮翁夜話

 二宮尊徳が活躍したのは、19世紀前半頃。長年にわたる幕藩体制の矛盾がいろんなところで露見し、深刻な飢饉が2回もあるなど、農民の生活は疲弊していた時代だ。時代の状況が最近の日本になんとなく似ているような気がしたので読んでみた。

 

農村復興の手法を、誰にでもわかりやすく、実践できるよう具体的に書いている。あからさまなくらいに、わかりやすい。

 

まずは「分度」を守ること。分度とは、例えばある家の収入。田んぼが10反あれば、そこから収穫できる米の石高。その収入の範囲内で生活をしなさいと説く。次に分度の中で節約して少しでも余剰が出たら、無駄遣いしないで、将来のため、子供のため、村のため、国のために使いなさいと説く。これを「推譲」と言う。毎年、少しでも将来に向けて投資できれば、長期では圧倒的な差になると、複利の考え方も示しながら説く。

 

飢饉への対策も実践的だ。飢饉になりそうだとわかったら、まずは食料となる芋や大根などを空いた土地に植え付ける。いよいよ食料が欠乏してきたら、村全体にある米を買い上げるとともに、年少者や女性、老人を寺などに一箇所に集めて、一人、1日あたり米1合をおかゆにして4回に分けて与える。こうやって村全体の米の消費を節約する。一方で、体力のある男性には、給金を与えて田や畑の開墾作業や、食料となる蕎麦やジャガイモなどの植え付け作業、縄をなうなどの現金を稼ぐ商品生産を行う。こうやって、春に麦が実るまで耐えるのだ。開墾によって将来余分に収穫できる米などで、飢饉の時に使った給金を賄うことができるという。今で言えば、不況時に公共事業を多く発注する、財政政策だ。

 

能力がある人もない人も、どんな人でも食っていける方法を、実践しながら考えていく。今の世の中だったらどうするだろうか。

J-47 二宮翁夜話 (中公クラシックス)

J-47 二宮翁夜話 (中公クラシックス)

 

 

受験生

高校三年生の息子は今年受験。正月も塾の自習室に通って勉強していた。朝7時に起きる。ご飯と味噌汁の朝食を食べて、9時過ぎに弁当持参で家を出て塾の自習室に向かう。そのまま夜の10時まで勉強して帰ってくる。夕方にコンビニで軽くおにぎりかパンを食べるので、夜はご飯抜き。みんなと一緒のお惣菜だけ食べて風呂に入って11時過ぎには寝る。12月下旬からずっとこの生活だ。1日の例外もなくこのペース。親ながらよくやるなと感心する。

 

自分の受験の時とは大違いだ。ある時は3日徹夜で勉強したかと思うと、次の日はサボってほとんど勉強しない。とにかくムラが大きかった。彼は中学生の時から無理しない。けどサボりもしない。淡々としている。大事な試験や部活の大会があっても、意気込んで特別なこともしない。いつもと同じ生活だ。私や妻が前のめりになりすぎて普段食べないようなご飯を要ししたり、やたら頑張れなどというとかえって調子を崩す。

 

だから今回も、できるだけいつもと同じ生活をしていくつもりだ。

薔薇の名前 上

 14世紀前半、イタリアの修道院で発生した連続殺人事件を、修道士のウイリアムとその弟子アドソが解明していく物語。著者ウンベルトエーコの豊富な知識がちりばめられているので、中世ヨーロッパの歴史を知る入り口としてもおすすめ。異端審問、キリスト教における笑いの意味について登場人物が白熱した議論を繰り広げる。

 

著者の豊富なうんちくがストーリー展開とうまく絡み合っているので読んでいて無理がない。楽しく読み進められます。

薔薇の名前〈上〉

薔薇の名前〈上〉

 

 「パウドリーノ」も舞台は中世。コンスタンティノープルから東方のキリスト教の国を目指して旅するお話です。

benton.hatenablog.com

生命、エネルギー、進化

 生命はどうやって始まったのか? 植物や動物などの多細胞生物、細菌はなぜ今あるような形であり、今あるようなやり方で生きているのか? 生命に関する直球ど真ん中の疑問に真正面から答えてくれる本です。

 

主要なテーマは二つ。一つ目は生命の起源。著者は細菌であれ植物であれ動物であれ、どんな生命もエネルギーを得る方法は同じだと言う。その方法とは「レドックス反応と膜を隔てたプロトン勾配を原動力」としている。食物となるものから電子を抜き出してその電子を何段階にも受け渡ししながらゆっくり酸化させる過程でエネルギーを得ている。では、最初の生命はどこで生まれたのか。深海にあるアルカリ熱水噴出孔とのこと。

 

二つ目のテーマjは、生命誕生から20億年間は原核生物(細菌と古細菌)しか存在しなかったのに、なぜ、突然細胞核があって細胞小器官を持ち、有性生殖で子孫を増やし、多細胞生物に進化していった真核生物が生まれたのかという疑問です。著者は、古細菌の中に細菌が入り込んで共生し始めて、ミトコンドリアとなったことが全ての始まりだと言います。これによって細胞が使えるエネルギーが桁違いに増えたことで、細胞のサイズが巨大化し、ゲノムも大きくなり複雑な姿を形成できるようになったそうです。

 

その他にも、印象に残る記述がたくさんありました。

 

生命とはゲノムで受け渡しされる情報の流れであるとともに、台風や渦潮のように、エネルギーの継続的な流れによって維持される物理構造である。

 

細菌は個々の細胞が永遠に分裂を繰り返していくので寿命というものはない。真核生物は、永遠に受け継がれる生殖細胞生殖細胞を育むという役割を終えると死を迎える体細胞とに分かれる。

 

第4章のレドックス反応やプロトン勾配など、化学の知識がない私には難しいところもありましたが、わからないなりに適当に読み飛ばしても大丈夫。生命の根源について次々に種明かしされているようで、のめり込んで読んでしまいました。

 

生命、エネルギー、進化

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石川県の人口の変化

「地方の人口減少が大問題、石川県で言えば特に能登半島の過疎化が深刻。」といろんな機会に言われるので、石川県の人口の変化を調べてみた。

 

大正9年に日本で初めての国勢調査が実施された時のデータと、平成27年の国勢調査のデータ(単位:人)

 

                    大正9年             平成27年            増減

加賀地域                 232,782      393,719     +160,937

金沢市                  161,962                465,699          +303,737

能登地域                         352,616                294,590            -58,026

       (うち奥能登)      (129,038)                (68,195)           (-60,843)

合計                   747,360             1,154,008            406,648

        *奥能登は、輪島市珠洲市穴水町能登町

 

データを見て分かるのは

  • 金沢市への一極集中が進んでいる。石川県のほぼ半分は金沢市。都市圏で考えると多分半分以上。
  • 能登地域の人口減少が進んでいる。特に奥能登は人口がほぼ半減している。
  • 大正9年における石川県全体に占める能登地域の人口の多さ。人口の47%が能登地域だ。これは私が漠然と抱いていた印象を超える。

大正9年の時点でも、明治以降の人口増加、都市への集中がある程度進んだ後のデータなので、明治の初めもっと遡って江戸時代には、もっと能登地域の人口の比率が高かったのではないかと思う。また経済においても、それだけの人口を支えるに足る規模を持っていたのではないか。

 

夏になると奥能登の各地で行われる盛大なキリコ祭りは、往時の能登地域の経済的な裏付けがあってのものなのかと思う。