マラソン
今年、金沢マラソンに申し込んだら当選した。参加料も払い込んだ。6月から少しづつ走ったり、筋トレしたりして準備をしてきたつもり。でも、体重が全然減っていない。15キログラムくらいオーバーしている。本番まで残り1ヶ月あまり。せめて5キロは落として本番に臨みたいと思っている。この3連休は、毎日1時間走ったのだけれど、実家の秋祭りに行ってたらふく酒飲んだので、今朝体重を測ったら横ばい。体重は減っていないけれど、体幹を中心に筋トレしているのでお腹は引き締まって、ベルトの穴もひとつ詰めた。
昨日本番に向けて、長袖のシャツやらタイツをスポーツ用品のお店で物色してきた。大会が近づいてきたからなのか、マラソン用品を買い求める人で賑わっていた。少し涼しくなったからなのか、朝晩は街中を走っている人が、目立つようになった。
あまり走り込み過ぎると、右膝が痛くなるので無理をしないようにやわやわと走っている。どういう具合に一歩を踏み出せば一番負担が少ないか、楽に前に進めるかを考えながら走っている。体全体の力を抜いて、リラックスして走ると楽に前に進めるように思う。
プラハの墓地
「シオン賢者の議定書」という20世紀初め頃に流布され、世界中に大きな影響を与えた文書がある。史上最悪の捏造文書とも言われるもので、ユダヤ人の指導者たちがプラハの墓地に集まって行った秘密会議の内幕を描き、その会議で、ユダヤ人が世界支配を目指すことを確認したという内容だ。
世界各国で翻訳され、 ナチスのユダヤ人迫害にも影響を与えたと言われている。日本語にも翻訳され、戦前、戦後の日本人のユダヤ人観にも影響を与えている。
この「プラハの墓地」はウンベルト・エーコが「シオン賢者の議定書」が、主人公のシモーネ・シモーニによって捏造される過程を19世紀末のイタリア、フランスの実際に起こった事件を織り交ぜながら描いた小説。主人公以外の登場人物は全て実在の人物だ。
○○人は〜だ。とか○○県民は〜だ。というようなものの言い方には気をつけたい。○○人という括りに、合理性があるわけでもなく、それぞれが信じたい都合のいい内容を繰り返し言っているに過ぎないことが多い。もちろん全員に当てはまるわけもない。引っ込み思案のアメリカ人、きっちりしてないドイツ人はいる。
特定の集団にある一定の傾向があるにしても、それが素晴らしいとか、ダメだとか一概に言えるわけでもない。いい面があればそれと裏腹に悪い面が必ずある。
どこの国もそこそこ同じくらいと考えておけば間違えることもない。
肉じゃがと鯖の味噌煮
野崎洋光さんの「美味しい法則」を見ながらその通り作ってみました。
この本では、肉や魚、野菜も調理する前に一度お湯をくぐらせることを勧めている。アクも取れるし味も染み込みやすくなる。
肉じゃがは、ジャガイモも人参も糸こんも湯通しする。その後に同じお湯で豚バラ肉も霜降りする。野菜はひとくち大と少し小さめに切ってあるので、煮込む時間は短め。食べてみると、確かにスッキリした味わいで、肉も肉の味、食感が残っていてうまい。
鯖の味噌煮も、まず鯖の切り身を湯通しする。味噌や酒などの調味料をあらかじめ混ぜておいて、鯖を入れてから火にかける。煮込むのは5分くらい。付け合わせに長ネギとゴボウも一緒に煮る。まことに上品な、スッキリした味わいの味噌煮でした。
移民の運命 同化か隔離か
「イスラーム世界の論じ方」の中で、池内恵さんが言及していた本。
著者のエマニュエル・トッドは人類学者で、フランスの国立人口統計研究学院資料局長。
移民がどのように受け入れられるかは、受入国側と移民側それぞれの社会システムによって決まる。社会システムというのは、家族制度のこと。つまり兄弟が平等に親の遺産を相続するのか、長男が全て相続するのか。女性の地位は強いのか、弱いのか。父親の権威が強いのか、弱いのかなど。
フランスは、普遍主義(=人種や民族を超えて、基本的に人間はみんな平等という考え)の国で、北アフリカからであれ、黒人であれ、アジア系であれ、移民と結婚して何世代か後には同化してしまう。これは兄弟が平等に相続するという家族制度から、人は平等という考えが基底にあり、移民ともこだわりなく結婚できることによる。ラテン系の国、ロシアや中国もこのタイプ。
一方、イギリスやアメリカは、差異主義(=人種や民族によって人間は違うという考え)の国。親の遺言によって誰がどう相続するかが左右されることから、人によって違うという考えが基底にある。受け入れ国側において、移民が違う種類の人と認識されると、婚姻関係を結ばれることなく、民族として隔離されることになる。ただ、違いをそのまま受け入れてくれるので、社会の中で移民コミュニティを作ることを容認する。
ドイツや日本は、長男だけが相続し父親の権威が強い国。差異主義であり、移民は自分たちと違うということで、差別や排斥しようとする動きが出やすい。
家族制度が、それぞれの社会における根本的な人間に対する見方を決定していて、そこから移民に対する態度も決まる。これは私にとって初めての考え方。非常に興味深く読めた。
増補新版 イスラーム世界の論じ方
この本は、2004年から2016年にかけて著者が新聞や雑誌、学術誌などに発表してきた文章をまとめている。一般の読者向けにわかりやすく書いたものから、専門家向けの少し歯ごたえのあるものまで収められている。
著者が本書で何度も繰り返し言っているのは、
- イスラム教徒であるということは、コーランを頂点とするイスラムの教えの通りに生活するということ。それは信仰上の生活だけでなく、何を食べるかなどの日常生活や、国をどのように統治するかを決める政治も入っている。つまり、政教分離という考えは、イスラム圏にはないのだ。
- だから、政教分離を建前とする欧米諸国と、イスラム教国では根底から考え方が違うので、よく話し合えば共通点が見つかってお互いに理解し合えるという問題ではない。
- フランスが公の場所でのヒジャブ(女性が身体を隠す布)の着用を禁止したのは、信仰は自由だがそれは内面的な生活に限ってのこと。社会生活において宗教的なものを誇示するようなことはすべきでない。という考えに基づいたこと。フランス社会の根本原則に従わない人は受け入れられないという姿勢を示している。
- 日本でイスラムを語る人の中には、アメリカを批判したい気持ちが裏にあって、それを強調するためだけに、イスラム教国に肩入れする人が多い。ちゃんとイスラムのことをわかっている言説は非常に少ない。
イスラム世界について考えてみる際の入口としてぴったりの本です。
私的昭和史 桑原甲子雄写真集
この写真集、見始めると1時間くらいあっという間に過ぎます。
昭和10年頃の東京の街の写真です。ふらりと街を散歩しながら、その頃の東京の日常を切り取った写真。看板の文字や人々の服装をじっくり見ながら、子どもの頃、親に連れて行ってもらった東京の様子と重ね合わせて雰囲気を想像していると、自分が当時の街を歩いているような気分になってくる。
表紙の写真は昭和11年2月27日の午後の馬場先門あたりの写真。つまり二・二六事件の翌日。著者が和服の袖にカメラを隠しながらこっそり撮影したそうだ。その日の霞ヶ関や日比谷の写真が他にも何枚かあって、警視庁の玄関前には反乱軍の兵士の姿も写っている。戒厳令下のものすごく緊迫した中での写真で身構えた。しかし、他にも歩いている人がたくさん写っているので、戒厳令下といっても普通の人にとっては案外のんびりしていたのかもしれない。
196ページの薬屋の店先の写真も強烈。「強力毛生剤」、「南京虫全滅液」、「わきが」、「最新リン病治療薬」、「タバコがホントにキライになる新剤」、「性具 衛生サック」、「諸毒下し体質改善」、「皮膚病大妙薬」などなど、えらく直接的な表現の看板で店先が埋め尽くされている。
秋葉原にあった青物市場や、完成したばかりでピカピカの築地市場の写真もある。
とにかく、一枚一枚じっくり見ていると楽しくて時間を忘れる。下巻は戦前の満州と戦後の東京。こちらも是非見たい。
シーカヤック
息子と二人でシーカヤックに行ってきた。「カヌーあいらんど」の1日ツアーを7月に予約していたのだが、大雨と雷で中止になったので、一ヶ月後に仕切り直しで参加したのだ。
カヌーあいらんど:http://www.dab.hi-ho.ne.jp/canoe-island/
しかし、今回も朝から怪しげな天気。日本海に雷雲が次々と湧いている。明け方まで能登方面は雨が降っていた。ただ、午後にかけて徐々に回復するようだったので、7時に家を出て、とりあえず集合場所の和倉温泉に向かう。
8時半に到着。今回の参加者は我々の他に金沢からの男性が一人の計3人。やはり雷の可能性があるので、当初予定していた能登金剛周辺でのツアーを中止して、七尾湾を中島町小牧からツインブリッジまでの往復するコースにするとのこと。
コンビニで水とお弁当を買って車で出発地点の海岸に向かう。3人とも何回かシーカヤックに乗ったことはあるので、準備をしてすぐに海に漕ぎ出す。内湾の静かな海をスイスイ進む。途中スコールのような雨に何回か降られたが、体が冷やされて気持ちいい。
突然の雷を警戒してできるだけ岸に沿って進む。岸沿いを進む。1時間ほどでツインブリッジの下に到着。
ツインブリッジの能登島側にある小さな島を一周してみたり、
能登島に上陸してお昼を食べたり、泳いだりしてのんびり過ごした後、同じ経路を引き返す。
途中にある牡蠣棚の近くで、大量のクラゲを発見。海の中でクラゲが湧いている。これから秋にかけて、もっとクラゲが増えるとのこと。防水仕様の「写ルンです」を海に突っ込んで撮影してみた。
14時30分くらいに出発地点に到着して解散。「なかじま猿田彦温泉いやしの湯」に入ってスッキリしてから帰りました。
岩波講座 日本歴史 第6巻 第7巻
第6巻は院政期から治承・寿永の乱、鎌倉幕府の成立あたり。第7巻は鎌倉時代と建武の新政を扱う。治承・寿永の乱というのは源平の戦いのこと。最近はこういうらしい。
律令体制が確立したのち、権力の中心は、天皇家から、摂関家、院、武家政権へ移行する。武家政権の中でも、平家から鎌倉幕府へ入れ替わる。鎌倉幕府内でも源氏の将軍は頼朝から実朝までの三代と途絶えてしまい、その後は京都の公家を将軍として迎え入れ、北条氏が実験を握る。天皇家も皇位継承を巡って南朝と北朝に分裂する。さらに、有力寺社は全国に荘園を確保し隠然たる勢力を誇る。
西暦でいうと900年ごろから1300年ころまでの400年間、室町時代までいれると1500年までの600年間。権力の中心は常に空洞化、分裂に向かう。不思議なのはその間にだれも、天皇家に代わる存在になろうとしないこと。北条氏は執権として権力を握りながらも、天皇、将軍を制度としてそのまま残している。
律令体制が崩壊し、公家、武家、寺社が並び立ち、それぞれが地域ごとにさらに細分化して支配する。そして戦国時代を経て、徳川家が全国統一を完成させる。というのがざっくりとした、古代から中世のイメージ。様々な勢力が並立する中で、中世の人々にとって支配者とはどんな存在だったのだろうか。当時の時代の気分、感覚を知りたいと思った。
オープンイノベーションの教科書 社外の技術でビジネスを作る実践ステップ
オープンイノベーションというのは、企業が技術開発する際に全てを自前で開発するのでなく、他の企業やいい技術を持っているのであれば、その技術を取り入れて、より良い製品をより短期間で開発する手法のこと。
技術を求める立場、技術を提供する立場に分けて、オープンイノベーションを実践するにあたって注意すべき点をまとめ、それぞれの具体例を挙げている。タイトルの通り教科書として全貌を知ることができるいい本だと思う。
実践例として登場する、東レや味の素、デンソーなどかなりの大企業でも、真剣に外部の技術を求めていることがわかった。ただ、彼らが求めているのは、世界でベストの技術。中小企業がそう簡単に食い込める世界ではないけれど、いいものさえあれば絡みようがあるのだ。
9プリンシプルズ 加速する未来で勝ち残るために
世の中がどう変化していくかわからず、しかも変化のスピードがどんどん速くなっていく中で、どうすれば生き残っていけるのか。生き残るための原理原則を伊藤穰一が語る。
先行きは不透明なので、何が正解かは誰もわからない。つまり、どうすればいいかをあらかじめ分かっている人はいないのだから、既存の知識体系や既存の組織の権威に従順に従っても仕方ない。多様性を大事に、リスクをとっていろんなことを小さく実践してみる。というようなことが、著者が所長を務めるMITメディアラボの実践例を紹介しながら書いてある。
目次では、
1 権威より創発
2 プッシュよりプル
3 地図よりコンパス
4 安全よりリスク
5 従うより不服従
6 理論より実践
7 能力より多様性
8 強さより回復力
9 モノよりシステム
と続く。
グーグルの共同創設者ラリー・ペイジの言葉
ほとんどの企業がだんだん劣化するのはかれらが以前にやったのとだいたい同じことを、マイナーチェンジしただけで続けようとするからだ。絶対に失敗しないとわかっていることをやりたがるのは自然なことだ。でも漸進的な改善は、やがて陳腐化する。これは特に、確実に漸進的でない変化が起こるとわかっている技術分野ではそうだ。
人口減少という漸進的でない変化が起こり始めている中、社会のあらゆる分野で、答えのない問いに立ち向かわなければいけない。つべこべ言ってる暇があれば、何かやってみなければ。
ニューヨーク
娘がニューヨークでの2週間の語学研修から無事に帰ってきた。
学校以外の場での行事には、友達が一緒じゃないので参加したくないと言い続けていた娘が、今回は珍しく自分から行きたいと言い出したので費用はかなりかかったけれどこの機会を逃すまいと参加させた。中学生と高校生が対象で、アメリカの大学の寮に入って英語を学ぶコースだ。同行した15人の参加者のうち、中学生は二人だけだった。その分高校生や添乗員の人に優しくしてもらい楽しく過ごしたようだ。フランス人やイタリア人などいろんな国の人と一緒だったそうだが、特に中国人が多かったとのこと。勢いのある国はやはり違う。
午前中は勉強、午後はスポーツやダンス。休みの日にはニュヨークの街にも連れて行ってもらったとのこと。国連本部にも行ったらしい。
英語が上達したかどうかは置いといて、彼女が帰ってきて一番変わったと思ったのは、何かしてもらったときに「ありがとう」と自然に言えるようになったことだ。他人の釜の飯を食う経験をして、家族や友達のありがたさを少しはわかるようになっただけでも参加させた甲斐があった。
マネー・ボール 完全版
メジャーリーグ、オークランドアスレチックスのゼネラルマネージャーが、どうやって、乏しいお金でプレーオフに出場できるような強いチームを作ったかというお話。
まず、野球というのは、できるだけアウトを取られずに攻撃し続けることを目指すゲームだと考える。アウトを取られなければ永遠に攻撃し続けられる。アウトを取られないかを競うゲームなので、送りバントはアウトカウントの無駄遣いだし、盗塁もリスクが高い。どちらもアスレチックスでは禁止だ。
打者に求められるのは、とにかく出塁率。次に長打力。過去の膨大なデータから、選手全員の出塁率と長打率をもとにシーズン中のチームの得点を予測する数式作り上げる。これを使って、チームの成績を予想するとともに、トレードでどんな選手を獲るか検討するのだ。
何しろお金がないので人気のあるスター選手を獲得できない。ピークを過ぎたけれどしぶとく四球を選んで出塁できるかつてのスター選手や、出塁率は高いけれど、怪我や太り過ぎなど、どこかに傷のあるマイナーリーグの選手を安く獲得する。ドラフトでは高校生のスター選手は成功する確率が明らかに低いので見向きもしない。大学リーグの成績を見て出塁率の高い選手を選ぶ。
投手の成績を評価するときに、勝利投手、セーブポイントておかしいと思ったことないですか。本人の実力指標というよりも、チームの状況次第でどうにでもなる数字じゃないかと。アスレチックスでは、投手の実力そのものをはかるときには、与える四死球の少なさ、たくさん三振がとれるか、ホームランを打たれにくいか、を重視する。
データを解析し、野球界の認識の歪みをついて、いい選手を安く獲得し、それほどでもない選手を高く放出する。トレーダーが金融商品を扱うように選手を売買する。
書いてある内容自体が面白い上に、語り方もうまい。読ませる。 それほど野球に興味ない人にもオススメです。