最後の天朝 上 毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮

近年、ロシアや東欧諸国、中国、アメリカで公開されはじめた公文書を元に、1945年からの中国と北朝鮮の関係を掘り起こしていく。関係者の個人名や地名が詳細に記されていますが、その辺を適当に読み飛ばしても読み物として大変面白い。 なるほどと思ったのは…

負債論 貨幣と暴力の5000年

連休中にザクッと一通り読んだけれど、内容が盛りだくさんで受け止めきれていない。注釈や参考文献に目を通しながらもう一度じっくりと読みたい。 著者は人類学者。まず、経済学の教科書でよく出てくる貨幣の起源に関する物語をきっぱりと否定する。昔々、あ…

ヒトラー(下)1936-1945 天罰

下巻は1936年のラインラント侵攻から1945年のヒトラーの自殺まで、怒涛の9年間です。 ヒトラーがユダヤ人を差別しヨーロッパから追い出そうと呼びかける演説の表現がえぐい。ユダヤ人を害虫や病原菌に例え、ユダヤ人をヨーロッパから抹殺しないと自分たちが…

ヒトラー(上)1889-1936 傲慢

上巻が607ページ、下巻が863ページ、しかも2段組の大著。 「ヒトラーが史上稀に見る極悪人で、ヒトラーが全部悪い。ヒトラーさえいなければあんなことにならなかった。」と考えるのか、「ヒトラーがいてもいなくても変わらなかった。時代の状況であんなこと…

モラル・エコノミー インセンティブか善き市民か

私は、大学で経済学を学んだこともあり、いろんな社会問題はできるだけ市場システムを導入して解決したらいい、人々の心がけに訴えたり啓発活動をするよりも、いろんなものに値段をつけて市場で取引することで効率的に解決できるはずだと思っていた。 どうも…

休戦

プリーモ・レーヴィはイタリア在住のユダヤ人。ナチスに逮捕されアウシュヴィッツに送られる。アウシュヴィッツでの約1年間の暮らしを扱ったのが「これが人間か」。 「休戦」はソ連軍によってアウシュビッツが解放されてからレーヴィがイタリアに帰郷するま…

心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門

知らず知らずのうちに筋肉に力が入ってしまう。例えば緊張て肩がガチガチになってしまう。こうなると姿勢が悪くなり疲れやすくなる。声も出づらくなる。こんな状況から筋肉の緊張を解いて、できるだけ楽に日常生活を過ごせるようにするのが、アレクサンダー…

カラマーゾフの兄弟

正月休みに家に篭ってこたつで寝転んでじっくり読んだ。 父親フョードル・カラマーゾフと3人の息子たち、ドミートリイ、イワン、アレクセイ のお話。「いろいろあった。」としか要約しようがないくらい波乱万丈で、サイドストーリーも濃厚。最初はしつこい…

これが人間か 改定完全版 アウシュビッツは終わらない

著者はユダヤ人の化学者でイタリアに住んでいた。1944年10月にナチスに捕まりアウシュビッツに送られる。この本は1945年1月にソ連軍に解放されるまでの強制収用所での日常生活を綴る。 化学者だからなのか、著者は強制収用所の悲惨さや残酷さを強調しない。…

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

最初から完璧を目指して準備に時間をかけるよりも、そこそこのところで実行して、早めに失敗して改善した方が進歩は早いというお話。もちろん、失敗の原因を詳細に分析、フィードバックして改善に繋げる仕組みを持つことが前提で、そのような失敗から学習す…

ゼロベースランニング 走りの常識を変える!フォームをリセットする!

「Born To Run」を読んで、人間の足は長距離を走るために進化してきたのだから、足の機能を損なうような厚底靴ではなくて裸足に近い状態で走るべきだ、というベアフットランニングに興味を持ち、5本指の靴でも買おうかとアマゾンで物色していた時に、あなた…

BORN TO RUN 走るために生まれた

メキシコの山岳地帯にタラウマラ族という、超長距離を走ることが得意な民族がいる。急峻な山道を何10キロも軽やかに駆け巡る。村のイベントとして走ることもあるし、鹿を持久走で追い詰めて仕留めることもあるそうだ。 そんなタラウマラ族とアメリカの一流…

罪と罰

貧しさのため大学をやめざるをえなくなったラスコーリニコフが金貸しの老婆とその妹を斧で殺害する。何故か。 社会の役に立たない老婆を殺して金を奪えば、そのお金で将来有望な若者が大学に通うことができる。偉大な目的のためには小さな悪は正当化される。…

美術の物語

古代エジプトから現代までの美術の歴史を丁寧に語る。建築、絵画、彫刻が網羅されている。しかも、本文に登場する作品の図版が全て掲載されているので、本文と図版を行ったり来たりしながら何度も確認できるので大変わかりやすい。 ふとした弾みで購入したも…

高島野十郎画集 作品と遺稿

高島野十郎は福岡県出身の画家、1890年生まれ。生涯、解像度の高い写実の絵を描き続けた人。テレビの「なんでも鑑定団」で紹介されていた蝋燭の絵と月の絵が非常に気になり画集を買ってみた。 蝋燭の絵は、蝋燭がひとつ暗闇の中で灯っている。親しい知人に渡…

精神の危機

ポール・ヴァレリー(1871ー1945)はフランスの詩人、作家、批評家。この本は19世紀以降、科学技術万能となり、大衆化したヨーロッパの精神が危機的状況にあることを憂えた評論集となっている。第一次世界大戦を経験した観点から独裁にたなびく社会の流れも…

ロンドン・ペストの恐怖

「ロビンソン・クルーソー」の著者ダニエル・デフォーが1665年にロンドンでペストが大流行した時の様子を淡々と描写する。 「私」がペストが猖獗を極めるロンドンを歩き回り、その様子を綴る体裁になっている。しかし、デフォー本人は1660年生まれであり、ペ…

ゾルゲの見た日本

ゾルゲがドイツの新聞記者として発表した日本に関する記事とロシアのスパイとして本国に送った通信文が収録されている。 「日本の軍部」という記事の冒頭に この重大な情勢下で日本には政治の指導者がいない。すでに多年来、政府は内蔵する力も決意も持たな…

世界マヌケ反乱の手引書 ふざけた場所の作り方

お金がなくても楽しく生きていける場所を作りましょうという本。そのための具体的な方法を教えてくれます。 まずは、大晦日の山手線の中で勝手に宴会する。一升瓶とちゃぶ台を車両に持ち込んで、「あけましておめでとう。」とか言いならが電車に乗り込んで来…

須賀敦子全集 第3巻

「ユルスナールの靴」、「時のかけらたち」、「地図のない道」のほか、1993年から1996年に発表されたエッセイが収録されている。 「時のかけらたち」の中の「ガールの水道橋」が良かった。日本のフランス語学校で、フランス人のジャックと知り合いになる。ジ…

夜明けの約束

著者のロマン・ガリは、1914年にリトアニアでユダヤ人の両親のもとに生まれる。父親はロシア軍に入隊し、母ひとり子ひとりの家庭で育つ。12歳の時にワルシャワへ引っ越し、14歳の時に母ともどもフランスに帰化する。第2次世界対戦では自由フランス軍に参加…

プラハの墓地

「シオン賢者の議定書」という20世紀初め頃に流布され、世界中に大きな影響を与えた文書がある。史上最悪の捏造文書とも言われるもので、ユダヤ人の指導者たちがプラハの墓地に集まって行った秘密会議の内幕を描き、その会議で、ユダヤ人が世界支配を目指…

肉じゃがと鯖の味噌煮

野崎洋光さんの「美味しい法則」を見ながらその通り作ってみました。 この本では、肉や魚、野菜も調理する前に一度お湯をくぐらせることを勧めている。アクも取れるし味も染み込みやすくなる。 肉じゃがは、ジャガイモも人参も糸こんも湯通しする。その後に…

移民の運命 同化か隔離か

「イスラーム世界の論じ方」の中で、池内恵さんが言及していた本。 著者のエマニュエル・トッドは人類学者で、フランスの国立人口統計研究学院資料局長。 移民がどのように受け入れられるかは、受入国側と移民側それぞれの社会システムによって決まる。社会…

増補新版 イスラーム世界の論じ方

この本は、2004年から2016年にかけて著者が新聞や雑誌、学術誌などに発表してきた文章をまとめている。一般の読者向けにわかりやすく書いたものから、専門家向けの少し歯ごたえのあるものまで収められている。 著者が本書で何度も繰り返し言っているのは、 …

私的昭和史 桑原甲子雄写真集

この写真集、見始めると1時間くらいあっという間に過ぎます。 昭和10年頃の東京の街の写真です。ふらりと街を散歩しながら、その頃の東京の日常を切り取った写真。看板の文字や人々の服装をじっくり見ながら、子どもの頃、親に連れて行ってもらった東京の様…

岩波講座 日本歴史 第6巻 第7巻

第6巻は院政期から治承・寿永の乱、鎌倉幕府の成立あたり。第7巻は鎌倉時代と建武の新政を扱う。治承・寿永の乱というのは源平の戦いのこと。最近はこういうらしい。 律令体制が確立したのち、権力の中心は、天皇家から、摂関家、院、武家政権へ移行する。武…

マネー・ボール 完全版

メジャーリーグ、オークランドアスレチックスのゼネラルマネージャーが、どうやって、乏しいお金でプレーオフに出場できるような強いチームを作ったかというお話。 まず、野球というのは、できるだけアウトを取られずに攻撃し続けることを目指すゲームだと考…

すごい物理学講義

一般相対性理論と量子力学を統一して説明する重力量子理論の一つである「ループ量子重力理論」を解説する。空っぽの空間があり、その中で素粒子が動いているのではなく、空間自体が粒状になっているという考え方。粒状ということは空間にも、原子のようにこ…

ライト兄弟

今さらライト兄弟の伝記なんて、と思ったがアメリカでベストセラーになったというので読んでみた。今まで知らなかったことや意外なことがたくさんあって面白かった。 ライト兄弟は、1899年から飛行機の研究を始め、1900年から1902年にかけての3年間は飛行機…