浮世に言い忘れたこと

三遊亭圓生の随筆集。昭和を代表する名人と称される落語家。 居間のテレビでYouYubeが見られるようになってから、暇を見つけては圓生の落語を見ている。「百川」、「盃の殿様」、「死神」あたりがお気に入り。ゲラゲラと笑う訳ではなく、しみじみと面白い。Y…

失われた時を求めて(4) 花咲く乙女たちの影に

ノルマンディー地方の避暑地バルベックで過ごし一夏を600ページ以上にわたって詳細に語る。祖母と汽車でバルベックに向かって出発し、一晩かけて避暑地に到着し、ホテルに入る。ホテルの部屋に入った時の、部屋になじまない感じ、違和感、よそよそしさが…

反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

タレブの「反脆弱性」を読んだ。面白かった。「ブラックスワン」を横目で見ながらいつか読みたいと思っていたのだが、こんなことならもっと早くに読んでおくべきだった。 実世界では想定外大事件が起こる。どんな頻度で、どんな規模で発生するかは予想できな…

哲学JAM

先月から始まった石引パブリックの「哲学JAM」の2回目に参加してきた。哲学者の仲正昌樹さんが10回シリーズで現代社会について語る会だ。今回のテーマは、「独裁」は悪か 〜なぜ今、世界に独裁者が誕生しているのか 厳密に考えてみると、何が独裁なのか、定…

江戸散歩 上下

三遊亭圓生が、東京に江戸の面影がまだ残っていた頃の様子や、その頃にたくさんあった寄席や芸人さんの思い出話を語る。圓生が編集者に語った内容を文字に起こしたものなので、読んでいるうちに圓生の落語の語り口が頭の中に自然に再生され心地よい。 三遊亭…

弱虫ペダル

息子が家に残していった「弱虫ペダル」を風呂に持ち込んで読んでいる。何故かよくわからないが35巻から45巻まである。風呂に入る度に1冊か2冊読んでいる。1冊で約30分。2冊読むとほぼ1時間湯船に浸かることになる。1時間湯船に浸かると頭皮からも全身か…

失われた時を求めて3 花咲く乙女たちのかげにⅠ

失われた時を求めて3 花咲く乙女たちのかげにⅠ2巻はスワンとオデットの恋の顛末のお話、最初はスワンが優位な立場で始まった恋が、付き合いが続いていくうちに立場が逆転し、スワンがオデットに翻弄されるようになる。スワンはこのままでは破滅してしまうと…

失われた時を求めて(1)(2)

最初はスワンはオデットのことをそれほど好きという訳ではなかった。スワンはわざと冷たく接して焦らしたり、手紙に返事を出さなかったりと強気の態度で接して、オデットを弄ぶ。ところが長く付き合ううちに立場が逆転する。あなたのためにいつでも時間は開…

解脱寸前 究極の悟りへの道

著者は、あとがきで仏教の修行というのは突き詰めると、 1 刻一刻と内側の変化を心身両面で観察し、 2 集中の練習をし 3 無執着の平常心 を会得すること、以上。とまとめてしまう。ただし頭で理解するだけでは意味がなくて、日々の修行によって実践できる…

財政破綻後 危機のシナリオ分析

国債残高がGDPの2倍以上にもなろうという中にあっても、経済学の世界では、早急に政府支出の削減と増税を実施して財政再建を進めるべきという考え方と、まず景気回復、経済成長が第一で財政再建は経済の拡大によって自ずから達成できるという考え方が対立し…

独立国家の作り方

土地を利用するために、どうしてお金を払わなければならないのか。そもそも土地を所有するととはどういうことなのか。土地を個人が所有できるものなのか?使いたい人が自由に使って何故悪い。 そんな問題意識から、誰のものでもない土地を見つけ出し車輪のつ…

タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源

タコは5億個のニューロンを持っているそうだ。これは、高度な知能を持つ哺乳類や鳥類に匹敵くするくらいの数だということだ。そして、タコは、知能、意識を持っているように振る舞う。 蓋をした瓶の中に餌となる海老を入れてタコに与えると、タコは試行錯誤…

伝奇集

アルゼンチンの作家、ボルヘスの初期の短編集。 ボルヘスは、話の導入部分に聞いたこともない人名や地名、本の名前が出てくるので取っつきにくいのだが、小説の世界に取り込まれると忘れられない読後感に浸ることになる。 今でも、時々思い出すのは、「不死…

へたも絵のうち

表紙に描かれた猫ののんびりとした気持ち良さげな顔に惹かれて買った。 熊谷守一は1880年岐阜県恵那郡生まれの画家。1977年に97歳で亡くなっている。画壇とは一線を画して仙人のように暮らしていたそうだ。夫婦二人だけの晩年の一日の過ごし方を紹介した冒頭…

白鯨

題名だけならみんな聞き覚えがあるメルヴィルの「白鯨」。52歳にして初めて読んでみた。 海洋冒険小説として、あるいは19世紀の捕鯨がどのように行われていたかを知るよすがとして興味深い。 母船から銛うちを乗せた小さな手漕ぎのボートを出してクジラを…

ぼくの伯父さん

伊丹十三の単行本未収録エッセイ集。2017年につるとはな、から出版されている。 1961年に伊丹十三が俳優としてヨーロッパに長期滞在した時の出来事をネタに書いたエッセイ、「ヨーロッパ退屈日記」は、食べ物のことやクルマのことなど「あの時代に、もうこん…

アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ

これが岩波新書か。と思う黒い表紙。ぶっ飛んだ文体でアナキズムを語る。 アナキズムというと、何するかわからないヤバい奴、あまり近づかないほうが良さそう。という印象しかなかったけれど、乱暴にまとめると、既成のどんな概念にも支配されないこと。効率…

数学をやり直す。

去年の年末に、今年こそは数学をもう一回勉強してみようと買ったのが、この「数学読本」 数学読本〈1〉数・式の計算/方程式/不等式 作者: 松坂和夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1989/10/27 メディア: 単行本 購入: 28人 クリック: 575回 この商品を含…

キッチン・コンフィデンシャル

著者のアンソニー・ボーディンはディスカバリーチャンネルの「アンソニー世界を食らう」という番組の予告で見て、面白そうな人だなと思っていたが、番組自体はじっくり見たことはなかった。今年の6月に彼が自殺したと聞いて気になったので、著書を読んでみ…

文明の衝突

この本のもとになる論文が発表されたのが1993年、ソ連が崩壊して共産主義対資本主義のイデオロギーの対立が解消されて、資本主義、自由主義の西欧文明が世界中に広まり、平和な世界が訪れるのではないかという期待があった頃。その後の世界はどうなるのかと…

A VOYAGE FOR MADMEN

1968年に初めて開催された、単独・無寄港の世界一周ヨットレース、「ゴールデン・グローブレース」。イギリスを出発し、喜望峰を通って、オーストラリア、ニュージーランドの南を通って、マゼラン海峡と、南氷洋をぐるっと一周してから大西洋を北上してイギ…

意識と自己

意識はどうやって発生したのか。自己という認識はどこからくるのか。科学最大の課題のひとつに挑む。 著者は意識の根元には「情動」があるという。単細胞生物から人間にいたるまで生物には外界からの刺激を受けた時に、命を脅かすものであるのか、それとも命…

舞踏会へ向かう三人の農夫

ドイツの写真家、アウグスト・ザンダーが1914年に撮影した、三人の農夫の写真を巡って3つの話が展開する。 ひとつは撮影された農夫たちの話。1914年8月に第一次世界大戦が始まり農夫たちも大戦に翻弄される。二つ目は、出張先のデトロイトで時間調整のため…

イベリコ豚を買いに

著者である野地さんはノンフィクション作家。食やスポーツなどの分野での著書がある。知り合いの経営者に勧められてイベリコ豚を取材しようとしたところが、日本で口蹄疫の感染が発生したばかりにスペインの生産者から取材を断られる。それでも、なんとかし…

不確かな医学

著者は、アメリカ人でがん専門の内科医。「がん4000年の歴史」でピューリッツァー賞を受けている。 物理学などの他の科学と比較して医学にどんな特徴があるのかを、医学の三つの法則として説明する。TEDの講演が元になっているのでコンパクトでわかりや…

知の果てへの旅

著者のマーカスデュ・ソートイはオックスフォード大学の数学教授。また、「科学啓蒙のためのシモニー教授職」にもある。エクセルやワードを開発した、チャールズ・シモニーの寄付が寄付して、その名の通り科学を広く世の中にPRするために設置された職で、前…

スラスラわかるPython

ProgateのPythonコースを終え、次に何しようかと考えた末に手に取ったのがこの本。 第1章から順番に解説を読んで、事例のプログラムを自分でもその通りに打ち込んで実際に動くかどうか確認して進めて行く。解説が丁寧で、問題の回答もあるので、内容につい…

新薬の狩人たち 成功率0.1%の探求

新薬を作り出すということについて、どうも大きな誤解をしていたようだ。 太古から人は、植物の葉や根っこなどを手当たり次第に口にして、病気に効く薬を探し求めてきた。それこそ長い年月をかけての試行錯誤、当てずっぽうで自分の体を実験台にして偶々見つ…

仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か

そもそも釈尊は何を経験し、何を語ったのか。釈尊が伝えようとしたことは何なのか。仏教の根っこに迫る。 釈尊は、涅槃を経験し(=悟る)、人々にその涅槃に至るための方法を説いた。涅槃とは何か?一切皆苦の生から離脱すること。苦とは何か。欲しいものが…

トレイルズ

著者は、アメリカのアパラチア山脈に沿って南北に縦貫する全長3,500Kmの自然歩道、アパラチアントレイルをワンシーズンで踏破する。 アパラチアントレイルの踏破をきっかけに、著者は「トレイル」、「道」は、近代の人々にとってなんなのか考える。近代以前…