読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私は魔境に生きたー終戦も知らずニューギニアの山奥で原始生活十年

太平洋戦争中、東部ニューギニアでの戦闘で山奥に取り残された著者が、その後10年間にわたり仲間と山中で生活した記録。 戦闘に敗れて、山奥を彷徨する兵士たちが飢えやマラリアでバタバタと倒れていくところは悲惨としか言いようがない。行軍の経路に脱落…

「食の職」新宿ベルク

JR新宿駅の東口のすぐ近くにある、ベルクというお店の副店長さんが、お店について語った本。15坪の小さいお店だけれど、本格的なコーヒーやパンを安く提供しているらしい。ビールも飲めるそうだ。 この本は、ベルクと取引しているコーヒー屋さん、パン屋さ…

沖縄決戦 高級参謀の手記

沖縄戦の作戦を立案し、軍司令部の中で唯一の生き残りとなった高級参謀の八原博道の手記。 昭和19年3月に南西諸島の防衛を任務とする第32軍が設立され、八原は参謀に任命される。八原は、島内各所に地下陣地を構築して、アメリカの艦砲射撃を耐え、アメリカ…

病の皇帝「がん」に挑む 人類4000年の苦闘

上巻にあるインタビューで、医師でもある著者は、がんの患者さんに向けて、がんというのはどんな病気かを詳しくに説明して、ありのままを知ってもらうためにこの本を書いたと答えている。 腫瘍を取り除く外科手術、がん細胞だけを殺す薬を探し求める化学療法…

野崎洋光が考える美味しい法則

野崎さんは、料理屋には料理屋のやり方があるし、家庭には家庭の料理がある。家庭が料理屋の料理を真似するのはおかしいときっぱり言ってくれます。 例えば、青菜のおひたし。料理屋はたくさんの料理を一度に出さなければならないので、味を一定にするために…

Who Get's What

お金では解決しづらい問題、お金を絡めると嫌悪感を感じる人が出てくる取引がある。例えば、ドナーの腎臓を移植を待つ人にどうやって配分するか、子供たちがどの公立中学に通学すべきか、研修医をどの病院に割り当てるべきか。 そもそも、腎臓の売買は強い嫌…

ヨーロッパ退屈日記

最初に出版されたポケット文春版のあとがきの日付が1965年3月1日となっている。 驚いた。私の両親が結婚して、お金がないので新婚旅行に出かけるか家に風呂をつけるか悩んでいた頃に、伊丹十三は、ジャギュア(ジャガーじゃなくてこう書かないといけないそう…

美味しい本屋さん OH LIFE

武蔵ヶ辻の「かなざわはこまち」の裏、三角形の小さな公園の横にあります。食べ物にまつわる本が並べてあって、それを読みながらお茶できます。 パンはお店で焼いていて、スープも美味しいです。スープは「甘エビのビスク」、「きのこのポタージュ」、「ブラ…

眼の哲学 利休伝ノート

青山二郎は1901年生まれ、1979年に77歳で亡くなっている。装幀家であり陶器の鑑賞家。1930年(昭和5年)頃に、小林秀雄や中原中也、河上徹太郎、大岡昇平らと親交を深め、交流し、飲み歩き、彼を中心とした文学仲間を称して「青山学院」と呼ばれたそうだ。…

ザ・グレート・ゲーム

「歴史が後ずさりするとき」の中で、ウンベルト・エーコが、ソ連崩壊によって東欧から中央アジアの範囲では最近の地図は全く役に立たなくなった。国の有り様が100年前に逆戻りしてしまったと言ってるところでこの本に触れていた。 時は19世紀、なんとか領土…

パウドリーノ

ウンベルト・エーコのヨーロッパの中世を舞台にした小説。1150年から1200年頃の神聖ローマ皇帝、フリードリッヒ・バルバロッサのイタリア遠征、第4回十字軍によるコンスタンティノープルの略奪あたりを扱っている。 イタリア北部のアレッサンドリアで生まれ…

歴史が後ずさりするとき 熱い戦争とメディア

イタリア人の記号論の学者にして小説家でもあるウンベルト・エーコ。小説では「薔薇の名前」が有名。 この本は、2000年から2005年に書かれた評論やエッセイです。9.11のテロ、アメリカのアフガニスタンやイラクへの侵攻について何度も書いています。その中で…

女盗賊 プーラン

30年くらい前のインドのお話。実在の盗賊の首領 デヴィ プーラン本人から自身の壮絶な生い立ちを聞き取りしてまとめた本。 プーランは読み書きができない。彼女は、マッラという漁民が所属する身分の低いカーストの貧しい家に生まれる。父親は親戚に土地を騙…

コーカサスの金色の雲

1944年、ナチスドイツを撃退した直儀のソビエト。モスクワの少年院で暮らしていた孤児のクジミン兄弟は、コーカサス地方へ送られる。コーカサスはカスピ海と黒海に挟まれた豊かな土地。そこに行けばたっぷり食べられるという募集の文句に引き寄せられたのだ…

今夜もひとり居酒屋

これもインフル蟄居中にKindleで購入。居酒屋のガイド本ではない。著者が考える「いい居酒屋」についての考察です。店内の掲示メニューは黒板か張り紙か、木の札かで店の雰囲気がどう違うのか。お通しやのれんについて、立地場所の考察など、いちいち細かい…

打ちのめされるようなすごい本

インフルエンザで蟄居している間、Kindleで興味に任せて購入。 米原さんはロシア語通訳の第一人者であり、エッセイや小説を書けば無茶苦茶面白い。「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」や「旅行者の朝食」は良かった。10年前にガンで亡くなられた時は結構ショ…

つぎはぎ仏教入門

学生の頃に好きでよく読んでいた呉智英さんの仏教入門。「はじめに」で次のような問いが投げかけられる。 ところで、仏教のそもそもの宗祖は釈迦である。釈迦はその弟子や信徒たちと、どんな仏像を拝み、その前でどんなお経を唱えていたのだろうか。 釈迦の…

「人口減少経済」の新しい公式 「縮む世界」の発想とシステム

地方創生とかいって地方への移住者を少しばかり増やしたところで、あまり解決にならないような気がしたので、人口減少が経済に与えるインパクトを確認してみたくなって読んだ。2004年に出版された本なのでデータは少し古いのだが、現実と比較しながら読んで…

能楽への招待

タイトルの通り能の歴史や能面の解説、演目について一通りの解説もありますが、多分著者が言いたかったのは、ゆっくりとした能楽の動きの裏に研ぎすまされた内面の充実があるということ。そのことを示すために中国の武術家の言葉を引き合いに出します。 不動…

現代坐禅講義

道元の只管打坐とはどんなものなのか。その考え方と具体的な実践方法を丁寧に説明した本です。 坐禅するとは、居眠りせぬよう、考えごとにならぬように、そして生き生きと覚めて骨組みと筋肉で正しい坐相をねらい、その姿勢に全てをまかせきってゆくことであ…

コザック ハジ・ムラート

カフカース(コーカサス)地方での、ロシア人とコザックやチェチェンの人々とのかかわりを舞台にしたトルストイの小説です。1850年頃にトルストイが軍隊で勤務しカフカースに派遣されていたことがもとになっています。カフカース地方は黒海とカスピ海に…

白山奥山人の民俗誌

石川県白山市の旧白峰村で、「出作り」とよばれる生活を行っていた人たち(=奥山人)の、江戸時代から昭和40年代までの生業や習俗を網羅的にまとめた本です。 出作りというのは、白峰村の本村から離れた山林の奥地、高地で住居を構えて焼き畑による稗や粟…

iPS細胞はいつ患者に届くのか 再生医療のフロンティア

再生医療の現在の状況を知るには手頃でわかりやすい本です。再生医療というと心臓などの臓器をiPS細胞などから丸ごと作って移植するのかと思っていましたが、例えば神経細胞に分化するように操作した幹細胞を血液中に注射することで、幹細胞が脳梗塞で死んだ…

原始仏典第五巻 中部経典Ⅱ

これまでにも何度も登場し、五巻にも出てくる原始仏典の二つの考え方を紹介します。 「無記」 世界は時間的に有限か無限か。世界は空間的に有限か無限か。生命と身体は同一か別か。如来は死後存在するか否か。これらについての見解を求められるとブッダはわ…

多数決を疑う 社会的選択理論とは何か

多数決は本当に正しく民意を反映しているのかと著者が問いかけるところから始まる。 多数決という意思集約の方法は、日本を含む多くの国の選挙で当たり前に使われている。だがそれは慣習のようなもので、他の方式と比べて優れているから採用されたわけではな…

ウッツ男爵

ナチスの侵攻、ソ連によるチェコ侵攻「プラハの春」など、動乱の時代をマイセンの磁器の人形を蒐集し、プラハで守り続けた男のお話。 「パタゴニア」もそうだけど、ブルースチャトウィンは、過剰なところがあって狂気を感じさせる人物を描かすとうまい。 パ…

ナノフューチャー 21世紀の産業革命

この前読んだ 「人口知能 人類最悪にして最後の発明」の中に、人工知能が発達し特異点を超えると、人間の制御が及ばなくなった人工知能が勝手に自己再生型のナノテクマシーンを操るようになり、それらが手当たり次第に分子を組み替えて地球上が「グレイ・グ…

仏教思想のゼロポイント:「悟り」とは何か

ゴータマ・ブッダの言う解脱・涅槃とはどんなことなのか? を、原始仏典に基づいて解説した本です。 自分という実体があるのではない。過去にあったことが原因となってたまたま現在の状況があるだけ。自分は常に移り変わる。そんな我々が物を見る時は、網膜…

年収は「住むところ」で決まる—雇用とイノベーションの都市経済学

ICTやバイオサイエンス、医療器械など産業のイノベーションを実現する企業が特定の都市に集積する傾向が強まっている。なぜ、企業は一部の都市に集積するのか、どうしたらそのような企業を呼び込み次世代の産業を集積させることができるのか。第一線の経済学…

コトラー世界都市間競争

国家の富を生み出すのは都市地域であり、都市地域に富をもたらすのは多国籍企業である。ということを前提に、都市がどうやって多国籍企業を誘致すべきかを論じた本。 交通アクセス、都市が供給できる人材、都市が提供できるサプライチェーンなどを検討して、…

語りえぬものを語る

毎回最後まで通読できないけれど気になって何度も手にとる本。今回が4回目。哲学者である著者が考えていること、著者が見ている思索の風景を、読者に同じように体験してもらいたいとの意図で書かれているので、噛んで含めるような丁寧な説明だけど、簡単で…

意識と脳 思考はいかにコード化されるか

意識とは何か?という問いに対して、科学がどこまで解明しているのか、現在の状況がよくわかります。1990年代以降、fMRIや脳磁計などの装置を使って脳の各部分活動状態がリアルタイムに解明できるようになり、実験によって意識した時と無意識の時の脳の…

トルストイ民話集 イワンのばか

古くから伝わるロシアの民話を、トルストイが仕立て直した作品が9編収録されている。軍隊やお金に振り回される世の中を批判し、人のために地道に働くことが何より大切だということが繰り返される。民話なので簡単な言葉で平易な構成で書かれていて、いたっ…

人工知能 人類最悪にして最後の発明

この本が言っているのは、次の2点。 自己を認識し人間並みの知能を持つ人工汎用知能(AGI)が開発されれば、人工知能がさらに賢い人工知能を人類の進化よりも何倍も速く開発することになり、人工知能は指数関数的に賢くなる。あっという間に人間の10倍、100…

岩波講座 日本歴史 第1巻 原始・古代1

弥生時代から聖徳太子の時代は、私の頭の中では歴史の空白地帯。土器、古墳、銅鏡や銅鐸、邪馬台国、前方後円墳など、文物の名称は思い浮かぶけれど、それらが相互につながらない。このころが国のかたちが固まった重要な時期なので、通史で復習してみた。 一…

灯台へ

ヴァージニア・ウルフ(1875年~1941年)はイギリスの女性作家。「灯台へ」は彼女の代表作らしい。 小さな島にある別荘で過ごすラムジー家の人々や客人達の様子を綴った第一部「窓」。第一次世界大戦を挟んだ10年の時の経過を示す第二部「時はゆく」。10年後…

ことことふっくら豆料理

あまりの暑さにふうふう言っていた頃には考えもしなかったが、秋が深まり寒くなってくると豆でも炊いてみようかという気になる。 そんな時には、辰巳芳子の「ことことふっくら豆料理」をひっぱり出してくる。今回は子供たちにも食べやすいようにと、手羽先と…

原始仏典 第四巻 中部経典1

原始仏典の第4巻。第1巻から第3巻が長部経典で、この第4巻からは中部経典です。長部経典は長編のお経。中部経典は中くらいの長さのお経という程度の意味だそうです。 まさにそのように、いいかね、修行僧たちよ、なんでもあなたたちのものでないものは捨てな…

戦争と平和

中学生の頃に読んでみようと思い立ち1巻と2巻を買ったものの、100ページくらいであまりの登場人物の多さとロシア人の名前の覚えにくさのため挫けてしまい35年ほど放置してあった新潮文庫をひっぱり出してきて読み始めたら、面白くて3巻と4巻も買って最後まで…

セヴァストーポリ

セヴァストーポリ はクリミア半島の都市の名前。クリミア戦争(1853年~1856年)では、この都市を巡って激しい攻防戦が1年近く戦われた。この本は、トルストイがロシアの砲兵士官としてセヴァストーポリの戦いに従軍した経験をもとに、当時の戦場の…

経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い

経済学の基本的なトピックスから最近の話題まで、まんべんなくバランスよく扱われている。しかも、数式は一切なし。読んで面白い。各章の内容を目次から抜粋すると、 1 市場の力 2 インセンティブの重要性 3、4 政府と経済 5 情報の経済学 6 生産性と…

ワーク・ルールズ

帯に書いてある通り、グーグルの人事担当トップが、毎年会社の規模が大きくなるなかで、どうやって社員の質を保ち、組織の文化を維持してきたかを、採用、人材育成、業績評価の面から書く。 卒業した大学と会社での業績は、卒業後3年以上経過するとあまり関…

大森荘蔵 哲学の見本

ものがそこに見える、例えばテーブルの上にティーカップが見えるとはどういうことなのか。網膜に像を結ぶだけではティーカップだとは見えないのではないか。 ものの実体があって、それを心(脳)で認識しているのか。 自我とは何か。ほかの人は、自分と同じ…

ヨオロッパの人間

この本で吉田健一は、ギリシャ、ローマ時代から中世、ルネッサンス、近代までヨオロッパの人たちがどんなことを考えていたかをざっくりとまとめる。 18世紀と19世紀のヨオロッパの違いについて語っているところが面白い。 ヨオロッパの18世紀は、文明…

アダム・スミスとその時代

講談社学術文庫にあったアダム・スミスの「道徳感情論」を読んでみたんだけれど、どうもすんなりと頭に入ってこない。すぐにただ字面を眺めているだけのような状態になるので、まずは、アダム・スミスの伝記を読もうとこの本を手にとった。 スコットランドの…

クリミア戦争 下

1853年~1856年に戦われた、イギリス、フランス、トルコ対ロシアの戦争。主戦場が黒海のクリミア半島だったことから、こう呼ばれている。ナイチンゲールが活躍した戦争、トルストイもロシアの将校として従軍している。 下巻は、セヴァストボリの陥落からロシ…

クリミア戦争 上

クリミア戦争は、イギリス、フランス、オスマン帝国対ロシアの戦争で、1853年から1856年にかけてロシアのクリミア半島やドナウ川河口域などを戦場として戦われた。騎士道精神に則り、ある意味牧歌的に戦われた最後の戦争であるとともに、国民国家が総力を挙…

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンボー峡谷に挑む

イギリスのジョージ・マロリーがエベレストの頂上の直下で遭難したのが1924年。イギリスのエベレスト遠征については「沈黙の山嶺」でこの前読んだばかり。その同じ1924年にイギリスの探検家キングドン・ウィードが、チベットを流れるツアンボー川の前人未到…

沈黙の山嶺 第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト 下

1921年〜1924年のイギリスによるエヴェレスト遠征隊の記録。下巻は1922年と1924年の遠征についてだ。 遠征隊の主要メンバーのほとんどが第一次世界大戦に兵士や軍医として参加している。そして、同じ部隊のほとんどが死亡したり、何エーカーにもわたり傷病兵…

ウイダーの副王

ブルース・チャトウィンが「パタゴニア」に続いて2冊目に出版した本。内容は、ブラジル出身のドン・フランシスコが西アフリカのダホメ(現在のベナン共和国)に渡り、国王に気に入られて奴隷商人としての特権を得て莫大な富を築き上げ、一族が繁栄し没落する…