タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源

タコは5億個のニューロンを持っているそうだ。これは、高度な知能を持つ哺乳類や鳥類に匹敵くするくらいの数だということだ。そして、タコは、知能、意識を持っているように振る舞う。 蓋をした瓶の中に餌となる海老を入れてタコに与えると、タコは試行錯誤…

伝奇集

アルゼンチンの作家、ボルヘスの初期の短編集。 ボルヘスは、話の導入部分に聞いたこともない人名や地名、本の名前が出てくるので取っつきにくいのだが、小説の世界に取り込まれると忘れられない読後感に浸ることになる。 今でも、時々思い出すのは、「不死…

へたも絵のうち

表紙に描かれた猫ののんびりとした気持ち良さげな顔に惹かれて買った。 熊谷守一は1880年岐阜県恵那郡生まれの画家。1977年に97歳で亡くなっている。画壇とは一線を画して仙人のように暮らしていたそうだ。夫婦二人だけの晩年の一日の過ごし方を紹介した冒頭…

白鯨

題名だけならみんな聞き覚えがあるメルヴィルの「白鯨」。52歳にして初めて読んでみた。 海洋冒険小説として、あるいは19世紀の捕鯨がどのように行われていたかを知るよすがとして興味深い。 母船から銛うちを乗せた小さな手漕ぎのボートを出してクジラを…

ぼくの伯父さん

伊丹十三の単行本未収録エッセイ集。2017年につるとはな、から出版されている。 1961年に伊丹十三が俳優としてヨーロッパに長期滞在した時の出来事をネタに書いたエッセイ、「ヨーロッパ退屈日記」は、食べ物のことやクルマのことなど「あの時代に、もうこん…

アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ

これが岩波新書か。と思う黒い表紙。ぶっ飛んだ文体でアナキズムを語る。 アナキズムというと、何するかわからないヤバい奴、あまり近づかないほうが良さそう。という印象しかなかったけれど、乱暴にまとめると、既成のどんな概念にも支配されないこと。効率…

数学をやり直す。

去年の年末に、今年こそは数学をもう一回勉強してみようと買ったのが、この「数学読本」 数学読本〈1〉数・式の計算/方程式/不等式 作者: 松坂和夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1989/10/27 メディア: 単行本 購入: 28人 クリック: 575回 この商品を含…

キッチン・コンフィデンシャル

著者のアンソニー・ボーディンはディスカバリーチャンネルの「アンソニー世界を食らう」という番組の予告で見て、面白そうな人だなと思っていたが、番組自体はじっくり見たことはなかった。今年の6月に彼が自殺したと聞いて気になったので、著書を読んでみ…

文明の衝突

この本のもとになる論文が発表されたのが1993年、ソ連が崩壊して共産主義対資本主義のイデオロギーの対立が解消されて、資本主義、自由主義の西欧文明が世界中に広まり、平和な世界が訪れるのではないかという期待があった頃。その後の世界はどうなるのかと…

A VOYAGE FOR MADMEN

1968年に初めて開催された、単独・無寄港の世界一周ヨットレース、「ゴールデン・グローブレース」。イギリスを出発し、喜望峰を通って、オーストラリア、ニュージーランドの南を通って、マゼラン海峡と、南氷洋をぐるっと一周してから大西洋を北上してイギ…

意識と自己

意識はどうやって発生したのか。自己という認識はどこからくるのか。科学最大の課題のひとつに挑む。 著者は意識の根元には「情動」があるという。単細胞生物から人間にいたるまで生物には外界からの刺激を受けた時に、命を脅かすものであるのか、それとも命…

舞踏会へ向かう三人の農夫

ドイツの写真家、アウグスト・ザンダーが1914年に撮影した、三人の農夫の写真を巡って3つの話が展開する。 ひとつは撮影された農夫たちの話。1914年8月に第一次世界大戦が始まり農夫たちも大戦に翻弄される。二つ目は、出張先のデトロイトで時間調整のため…

イベリコ豚を買いに

著者である野地さんはノンフィクション作家。食やスポーツなどの分野での著書がある。知り合いの経営者に勧められてイベリコ豚を取材しようとしたところが、日本で口蹄疫の感染が発生したばかりにスペインの生産者から取材を断られる。それでも、なんとかし…

不確かな医学

著者は、アメリカ人でがん専門の内科医。「がん4000年の歴史」でピューリッツァー賞を受けている。 物理学などの他の科学と比較して医学にどんな特徴があるのかを、医学の三つの法則として説明する。TEDの講演が元になっているのでコンパクトでわかりや…

知の果てへの旅

著者のマーカスデュ・ソートイはオックスフォード大学の数学教授。また、「科学啓蒙のためのシモニー教授職」にもある。エクセルやワードを開発した、チャールズ・シモニーの寄付が寄付して、その名の通り科学を広く世の中にPRするために設置された職で、前…

スラスラわかるPython

ProgateのPythonコースを終え、次に何しようかと考えた末に手に取ったのがこの本。 第1章から順番に解説を読んで、事例のプログラムを自分でもその通りに打ち込んで実際に動くかどうか確認して進めて行く。解説が丁寧で、問題の回答もあるので、内容につい…

新薬の狩人たち 成功率0.1%の探求

新薬を作り出すということについて、どうも大きな誤解をしていたようだ。 太古から人は、植物の葉や根っこなどを手当たり次第に口にして、病気に効く薬を探し求めてきた。それこそ長い年月をかけての試行錯誤、当てずっぽうで自分の体を実験台にして偶々見つ…

仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か

そもそも釈尊は何を経験し、何を語ったのか。釈尊が伝えようとしたことは何なのか。仏教の根っこに迫る。 釈尊は、涅槃を経験し(=悟る)、人々にその涅槃に至るための方法を説いた。涅槃とは何か?一切皆苦の生から離脱すること。苦とは何か。欲しいものが…

トレイルズ

著者は、アメリカのアパラチア山脈に沿って南北に縦貫する全長3,500Kmの自然歩道、アパラチアントレイルをワンシーズンで踏破する。 アパラチアントレイルの踏破をきっかけに、著者は「トレイル」、「道」は、近代の人々にとってなんなのか考える。近代以前…

ヌメロ・ゼロ

これから創刊される新聞のために新しく雇われた新米記者たちが、まずはPRのためのパイロット版を作成する。その中で記者たちが編集長から、新聞記事の作り方、いかに嘘をつかずに注目を集めるニュースを作り出すか、について指南を受ける中で事件が・・・・…

極夜行

「空白の五マイル」で、チベットの人跡未踏の地、ツアンボー峡谷を踏破した、角幡唯介が、今回は、冬の北極圏の太陽を拝むことができない暗闇(極夜)を旅をする。 デポしておいた食料が白熊に食い荒らされたり、出発して間も無く、星の位置で現在地を割り出…

エセー 1

エリック・ホッファーが愛読していたと、著書の中で何回も言及していたので読んでみた。第16章では、とかく人は自分の専門外のことに余計な口を挟みたがると言っている。 船頭は風のことを、牛飼いは牛のことを考えていればいいし、戦士は自分の傷を、羊飼…

原始仏典 第六巻 中部経典Ⅲ

梵摩経に不思議な場面がでてくる。 ゴータマ尊者が悟った人であるなら、バラモンの聖典で昔から伝えられている、偉大な人が持つ32の身体的特徴の全てを備えているはずなので、実際にゴータマ尊者に会って確かめに行く話だ。32のうち30は外から見てわか…

魂の錬金術 全アフォリズム集

アフォリズムとは、短い言葉で、人生・社会・文化などに関する見解を現したもの。警句、箴言、格言。 エリック・ホッファーは、ナチスやスターリンの全体主義、人々が自ら進んで独裁者に熱狂する状況について何度も語っている。 プライドを与えてやれ。そう…

波止場日記

エリック・ホッファーは1902年にニューヨークでドイツ移民の子として生まれる。7歳の時に母と死別し同じ年に視力をほとんど失ってしまう。15歳の時に再び突然視力を回復し、取り憑かれたように読書にのめり込む。一日10時間とか12時間も本を読んでいたそうだ…

量子力学の奇妙なところが思ったほど奇妙でないわけ

素粒子の位置と速度との両方を正確に観測することはできない。電子のスピンは計測されるまでは不定である。スピンを計測することで始めて上向き、もしくは下向きのスピンが現れる。光は光子という粒子の性質と波の性質とを併せ持つ。どちらで立ち現れるかは…

台所太平記

とある作家の家庭に奉公するお手伝いさんたちの生態を観察して時系列に語る、女中さん列伝。谷崎潤一郎が自分の体験も交えて書いたと思われる小説。 昭和11年ごろから30年ごろまで、時期によって多少の増減はあるが常に京都の家と熱海の家の両方で、それぞれ…

熊楠と猫

動物とも植物ともつかない不思議な生物、粘菌の研究者であり、和漢三才図会や本草綱目を中学生の時に筆写し暗記していた博物学者でもある南方熊楠。彼は大変の猫好きだったそうだ。 熊楠が猫について書いた文章や俳句、スケッチを集めた本です。熊楠について…

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則

職場では作成しなければならない書類が年を追うごとに増えていく。業績評価を客観的にやろうとすればするほど細かい書類を作らされる。また、何か問題が発生するとその対策として何らかの規則が追加され、その規則に従っていることを説明するための書類が増…

最後の「天朝」下 毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮

中国と北朝鮮の関係の深層に迫る長大な本。下巻はソ連でフルシチョフがスターリン批判をはじめた1956年から毛沢東と金日成が最後に会談した1975年までを扱う。 スターリン批判後のソ連とも袂を分かち、資本主義の親玉のアメリカとも対立した中国にとって唯一…