眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く

5億4300万年前に始まるカンブリア紀に、突然ありとあらゆる形態の動物が進化し始めました。それまでは、せいぜいクラゲやその他の軟体動物しかいなかったのに、突如として三葉虫をはじめとする、堅い殻をもった、様々な形態の動物が生まれたのが、カンブリア紀の大爆発と言われる生命進化史上の大事件です。


この本は、その原因は何かを解き明かします。以下内容のメモ

  • カンブリア紀の大爆発とは、全ての動物門が突如として進化して出来上がったことなのではなく、全ての動物門が突如として硬い殻を持ち始めたたことである。それ以前にそれぞれの動物門の内部構造は出来上がっていた。カンブリア紀に、それぞれ動物門がいろいろな外部形態を進化させた。
  • 大爆発のきっかけは、眼をもった動物が出現したこと。視覚を持った動物が発生し、視覚を使って他の動物を捕食することをはじめると、それから身を守るために多くの動物が硬い殻を発生させた。また、視覚を欺くために体の色を、環境にあわせて進化させるようになった。
  • 現在の生き物も、光に適応することが、生きていくうえでの最大の圧力になっている。太陽の光はあまねく地球上を照らしていて、それから逃れることはできないから。捕食者からかくれるために、精緻に体色を環境に合わせる仕組みを持っている。
  • では、カンブリア紀に眼が発生した原因はなにか。今のところ確かなことはわからないが、水中に到達する光が何らかの原因で強まったことが、視覚を進化させるきっかけになったと考えられる。


こんなことを、著者は段階を追って解き明かしていきます。色彩学、回折格子や薄膜などの構造色を発する仕組みにまで渡って、一歩一歩丁寧に説明してくれるので、非常にわかりやすく素人の私でもついていけました。

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

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合わせて読むともっと面白いです。
生物の進化史でのカンブリア爆発の意味を知るなら、

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