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ソーメンと西瓜

学生の頃に能登へ旅行に行った時の話です。


石川県生まれのくせに一度も能登へ行った事がなかったので、オートバイにテントを載せて1泊旅行をしました。1日目は、金沢から千里浜や厳門を通って海岸沿いに北上して、門前の皆月の海を望む芝生のキャンプ場に泊まり、2日目に輪島から珠洲、七尾と海岸沿いに走ってきました。真夏の一番暑いころで、珠洲から内浦あたりの国道を走っている時に、どうにも暑さに我慢できなくなって脇道にそれて、大きな木陰の下で休憩をしていました。すると、向かいの大きな家から小学3年生くらいの、いかにも素朴な感じの男の子が出てきて、私の横に座っていろいろ聞いてきました。「どこから来たのか。」とか、「荷物は何が入っているのか。」とか。そんな質問に答えて、こちらも「夏休みの宿題は終わったのか?」とか聞いているうちに話が弾んでしばらく話し込んでいました。


しばらくすると、彼のお母さんと思しき人が、ソーメンと西瓜を2人分もって出てきました。その子と私の分とのことで、食べて行けと言ってくれます。申し訳ない気持ちで遠慮してみましたが、是非食べていけとおっしゃられるので、有り難く頂くことにしました。見ず知らずの者にに、どうしてこんな事までしてくれるのかと、半分不思議に思いつつ、半分有り難く思いつつ、よく冷えたソーメンと西瓜をお腹一杯食べさせてもらいました。今になって思えば、昼飯どきに人の家の前で小汚いかっこで座り込んで、迷惑なことだったと思います。


今でも能登と言えば、まず、よく冷えたソーメンと西瓜を思い出します。