ソングライン

オーストラリアのアボリジニは、一人ずつがトーテム(自分を象徴する動物や植物など)を持っていて、遠い昔にそのトーテムが辿ってきた道を歌で代々伝えています。そんな歌の道、ソングラインがオーストラリア全土に張り巡らされて、かつては、その道をたどって人々は放浪生活をしていたそうです。


ブルース・チャトウインが、ソングラインを辿ってオーストラリアを旅するお話です。前半は、風変わりなアボリジニや、アボリジニを取り巻く人々と出会いつつ旅が進んでいきますが、後半は、彼のノートからの放浪についての文章の抜書きが延々と続きます。人はなぜ歩きたがるのか、放浪したがるのかを人類の起源にまで遡って考えていきます。生き残るために放浪することで、人は人になったのではないかと彼は言います。


印象に残った言葉。

人間の本質は移動の中にある。完全なる平穏は死だ。  パスカル『パンセ』

人生は橋である。その橋を渡れ、しかしその上に家を建ててはならぬ。  インドのことわざ


亡命者を追った『パタゴニア』も妙な人がたくさん登場するけれど、この本も不思議な人が次から次と出てきます。どこか遠くに行ってみたい。

ソングライン

ソングライン