複雑系 科学革命の震源地サンタフェ研究所の天才たち

私が興味を持って読んできた本の内容が、いろんなところで繋がって見えてきました。


スモールワールドネットワーク、生命の起源、進化と絶滅の歴史、遺伝子、脳、宇宙の起源、物質の成り立ち、行動経済学、べき乗分布、成長する組織と停滞しつづける組織など。


どれも、簡単なルールに従う個の相互作用によって、多様な集団の形態や、ふるまいが生まれます。「全体が個の総和以上のものになる。」という複雑系の目で見ることができます。


この本は、既存の学問分野にとらわれず幅広く複雑系を研究している、サンタフェ研究所の歴史と、そこで研究する人々を紹介します。経済、生物、物理の専門化が分野の壁を越えて熱く議論する研究所の雰囲気が伝わってきます。以下印象に残ったフレーズ。

学習、推論、知的発見に関する一般的な認知理論の基本原則

  • 知識は規則のように振舞う知的構造で表現することができる。
  • 経験は有用な規則を強め無用の規則を弱める。
  • 新しい規則は古い規則の組み合わせから生まれる。

規則は経験でフィードバックしないとね。無用の規則で窒息しそうになります。

生命が分子というよりむしろその組織化のあり方に固有なものであるという意味において、単にコンピュテーションに似ているのではないという考え方だ。生命は文字通りコンピュテーションそのものなのである。

遺伝子や個体そのものではなく、常に自己組織化していこうとする動きそのものが生命ということ。

進化は、柔軟性を保証するボトムアップ方式の組織を持ったシステムでよく起きる。だが同時に、進化は、組織を破壊しないような仕方でボトムアップのアプローチに道をつけるものでなくてはならない。そこには管理の階層構造−しかも、情報が下から上へ流れるのと同時に上から下へも流れるような構造−が必要だ。

進化は、カオスの縁:停滞と混沌の狭間で発生する。

複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)

複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)