選択の自由

経済活動への政府による干渉を必要最小限にして、小さな政府を目指すべきことを説いた本。1970年代後半に書かれて、レーガン政権やイギリスのサッチャー政権の小さな政府のもととなった本です。文庫で買おうと思ったら、絶版になったのか古本しかありませんでしたので、図書館で借りてきました。


福祉施策、教育、労働者保護、消費者保護など、とにかく政府の干渉を小さくすべきだとの主張です。

  • 生活保護、年金などのは、収入が所得税の控除額下回る場合は、控除額との差額に一定の率を掛けたものを、をマイナスの所得税として支給するものに統一し、シンプルにすべき。
  • 教育は、将来それに見合った収入が得られると思っているから受けるのであって、学校へ補助すべきではない。奨学金などの貸付制度があれば十分ではないか。やむをえず補助金を出す場合も、クーポン制にして、教育を受ける側の選択の自由が確保された形にすべき。
  • 弁護士や医師などの職業グループの免許制度は、表向きは「消費者を保護するため。」にあるというものの、新規参入者を制限して高い賃金率を得るための制度だからなくずべきというものまであります。


30年後の今の時点で見ると、個別の政策についてそのまま受け入れるのもどうかと思います。でも、格差対策を政府はもっと積極的にすべきとの方向に世間は流れて行きそうなので、政府が介入することのデメリット(費用の増大、非効率、腐敗)について改めて気をつけないといけないです。政府の失敗への対策として更に大きな政府を作るのもどうかと思います。政府の果たす役割はどれくらいが適当なのかという議論が必要です。

猫ががワンワンと鳴きさえすれば、私も猫がほしいんだが。

政府などの社会的有機体の行動は、個人の意思や心がけでどうにでも形成できると考えるのは、誤りだと著者はいいます。年金問題で言えば、公務員が心を入れ替えて、まじめに働けば解決すると思ったら大間違だということです。法則ともいえるほど、政府は非効率で腐敗するもので個人の力ではどうにもならないとのことです。こんな政府にまかせることのデメリットを考慮にいれて、どこまで政府にやらせるかを考えないといけないようです。

選択の自由―自立社会への挑戦 (日経ビジネス人文庫)

選択の自由―自立社会への挑戦 (日経ビジネス人文庫)