内部モデル

ホテル日航金沢で開催された「金沢地域知的クラスター創成事業最終成果報告会」へ行ってきました。知的クラスターの成果ははどうでもよくて、理化学研究所脳科学総合研究センターの伊藤正男さんの講演を脳好きとしては聞きたくて行ってきました。非常に面白かったです。

  • 演算スピードやメモリー容量という尺度でみると最近のスーパーコンピューターの能力は人間の脳を上回るそうです。それで、コンピュータは意志をもつようになったか?否。
  • 脳には、認識する回路、評価する回路、実行しろと命令する回路があるそうです。でも、実行しろと命令するのは誰が誰に対して命令しているのでしょうか、命令する回路に命令しろ命令するのは誰?質疑応答の時間に質問しようと思っていたら、最後に自意識がどこからきているかについては、最新の脳科学でも手の出しようがないとおっしゃってました。
  • あることを長い間ずっと考えていると、ふっとすべてが直感的にわかってしまうことがあるのは、無意識のうちに常に考えているからだそうです。将棋の例にすると、棋士は年がら年中将棋のことを考えていると大脳部分に脳内将棋板ができてそこで、駒を操作して思考できるようになるそうです。そして、さらに考え続けると、小脳のなかにも将棋板を作るようになって、今度は無意識に脳内で将棋を指すようになるそうです。小脳の中に内部モデルを作って考えてあるとき、ふっと全てが解けて、意識にのぼることになるというのが、伊藤先生の小脳仮説だそうです。
  • 意識は人間だけが持っているものなのか?哺乳類だけがもっているのか?ミドリムシにも意識はあるのでしょうか。ある段階の生物から自意識をもつようになったのであれば、意識をもつことが、生き延びる上でなんらかのメリットがあったからだと考えられます。何のために意識をもつようになったのかしら。


刺激に満ちた講演でした。
伊藤正男先生:http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no27/index.html
石川ハイテクセンシングクラスター:http://www.isico.or.jp/cluster/