ボディショッピング

臓器や体の組織の一部、遺伝子を売買することを、ボディショッピングと呼び、その是非を議論する。体外受精、臓器移植、ES細胞、美容整形、顔面移植などをボディショッピングの例として挙げ、臓器やさい帯血、精子卵子、遺伝子の売買を巡って争われた裁判の経緯をもとに説明する。


突き詰めると、自分自身の体の所有者は誰かという点が議論の分かれ目になる。手術などで、いったん、体から切り離された臓器、組織は誰の物でもないというのが英米のコモンローの考え方だそうだ。患者から提供をうけた組織から、医師がなにか有用なものを作ったとしても患者が所有権を主張することはできない。ただし、医師が正当な手続きを経て入手したか(インフォームドコンセント)、患者の追うリスク、手間に見合った正当な報酬を支払っているかという点について争えるとのこと。英米的な考え方では、企業の技術開発への意欲を殺がないこと=金儲けが優先される。一方、フランスでは、臓器提供者の尊厳、意向が重視されるとのこと。


遺伝子配列に関する特許って、もともと自然にある配列の働きを解析しただけものなのに特許になるのはおかしいように思う。物理法則も特許になるのか?企業が特許を押さえてしまうと、対象の遺伝子配列をつかって検査をするのに高額の特許料の支払いを求められ、必要な人が利用できなくなるという実際的な弊害もあるようだ。


金を使って理想の顔、体型を手に入れるという意味で、美容整形もボディショッピングの一つとして取り上げられている。自分の体だから、本人がリスクをとれば何していいという考えに、なかなか反論できないのだけれど、本当に自分の体を自分の好きにしてもいいもんだろうか。「親から授かったこの体」というように自分の一存だけで処分できない何かがあるように思う。

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