こころ

先生は、下宿先のお嬢さんのことで親友のKを裏切って自殺に追い込んでしまう。後半は、先生が「私」にあてた手紙で事の経緯を延々と説明する。重苦しい内容で読んでいて辛くなった。

あなたはまだ覚えていることでしょう、私がいつかあなたに、造りつけの悪人が世の中にいるものではないといったことを。多くの善人がいざという場合に突然悪人になるのだから油断してはいけないと言ったことを。あの時あなたは私に昂奮していると注意してくれました。そうしてどんな場合に、善人が悪人に変化するのかと尋ねました。私がただ一口金と答えた時、あなたは不満な顔をしました。


「あの人もいい人なんだけれどねぇ。」は、悪口の最後に付け加える台詞。「造りつけの悪人」なんていない。みんな好い人。だけど、金と異性がからむと平気で裏切る。自分もそうだと思う。

こころ (新潮文庫)

こころ (新潮文庫)