この国のかたち一

親父の本棚から抜いてきて読んだ。彼は司馬遼太郎が好きで「この国のかたち」と「街道を行く」は全巻揃えてきれいに本棚にならべていた。帯まで全部ついている。本を買うと寝転んで読むには邪魔な帯とカバーを取っ払ってしまう私とはえらい違いだ。


なぜ、明治政府がたった80年で太平洋戦争の敗戦をもって終焉してしまったか?このテーマが何度も登場します。司馬さんの生年月日を調べてみsると大正12年8月7日。敗戦の年は23歳。暇があって一番難しいことを考えられる学生時代に戦争があって国が滅びかけた。どうしてそうなったのか?と足元から歴史を遡ってみるというのは自然な流れだと思う。昭和20年から明治の初めまで遡って80年。子供の頃に明治維新を経験した人がかろうじて生きている頃だ。現在から昭和のはじめ頃を振り返るのと同じ感覚だ。

大概大概(テゲテゲ)という方言が薩摩にある。テゲだけでもいい。
「将たる者は、下の者にテゲにいっておく」
そういう使い方をする。薩摩の旧藩時代、上級武士にとって肺かを統御する上で、倫理用語ともいうべきほどに大切な言葉だった。上の者は大方針のあらましを言うだけでこまごまとした指図はしないのである。そういう態度を、テゲとかテゲテゲとかといった。

職場の上司に鹿児島出身の人がいた。細部のデータにまでこだわって書類を作らなくていい、ざっくりとした概要がわかればいいときは、「この書類、テゲテゲでいいから早く仕上げて。」と言ってました。なつかしい。

この国のかたち〈1〉 (文春文庫)

この国のかたち〈1〉 (文春文庫)