イラク戦争のアメリカ

「ハートロッカー」を見てから、自分がイラクのことをほとんど何にも知らないことに気がついて、関連する本をまとめて読もうと思っています。まずこれ、

イラク戦争のアメリカ

イラク戦争のアメリカ

アメリカ人のジャーナリストが、2003年頃から2006年にかけて何度もイラクを訪問して様々な人にインタビューしています。亡命イラク人、イラクで市民と直接向き合う米軍兵士、シーア派、スンニ派の人々、イラクで暫定政権の立ち上げに奔走するアメリカ政府の人たち、息子をイラクで無くした米軍兵士の父親。

フセイン政権を倒した時のみんなが少しは持った淡い期待が、どんどん失望に変わっていく様子が、いろんな立場の人の取材によって明らかになっていきます。


以下、印象に残ったことメモです。
・アメリカ政府はイラクの戦後処理に向けての具体的な計画がないままに戦争に踏み切ったこと。
・アメリカ政府はフセイン政権が倒れたあとも、最小限の費用と人員の投入でイラクの戦後復興に関与しようとしたこと。
・その結果として、旧政権崩壊後に無秩序が支配、略奪と暴動により、ハード面でも、ソフト面でも社会基盤が崩壊してしまったこと。戦闘による直接の被害よりも戦後の略奪による被害が何倍も大きかった。
フセインから解放されたものの、全く暮らしがよくならなかった。
・選挙も、結果的には民族、宗派勢力図を再確認しただけに過ぎず、対立をあおることになった。
・そのような過程で、民族間、宗派間の対立がどんどん純化されて行き、地域ごとに民族浄化(他民族を地域から追い出そうとする動き)が進み、内戦状態へ進んだこと。
・もともとイラクの国の領域は19世紀のヨーロッパの植民地支配の都合で決められたもので、当初からクルド人シーア派、スンニ派の対立を内包していたこと。