数覚とは何か?
この本は、視覚や聴覚、触覚と同じように、人や動物がリアリティをもって数をとらえる感覚=数覚を持っていることを、脳科学の面から説明する。生まれたばかりの赤ちゃんや動物でさえ、数を数える能力があるといいいます。赤ちゃんの場合、ふたつの点が描かれたボードを見せると最初を興味を示すものの、しばらくすると飽きて注目しなくなります。そこで三つの点が描かれたボードを見せると、再び興味をしめすようになるそうだ。2つの点と3つの点の違いをちゃんと認識しているらしい。
「2と1とどちらが大きい?」と「78と79どちらが大きい」という質問をすると78、79の大小を答えるまでの時間が圧倒的に長いらしい。(ミリ秒単位の話ですが。)ふたつの数字の距離が近くて数字が大きくなればなるほど反応時間が長くなるそうだ。これは、人が、数字をコップに入った水の量のように、アナログな量に置き換えてから大小を比較しているかららしい。概算で比較するのは得意だが、細かい違いを見分けるのは苦手。
世界中のどんな言語でも、1、2、3までは、棒をならべたような標記になる。例えば、漢字は一、二、三、ローマ数字は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、3本の棒までは、数えるよりも、パッと見て瞬間に感じることができるらしい。4つ以上となると、数えてやっとわかる。人の実感でいうと、ものの数は、「1、2、3、いっぱい。」
今年小学1年生になった娘が、毎日足し算と引き算の練習をしている。2+3、1+2は、何とかすっと答えが出るようになったが、9−6、7−3の計算は苦労するらしく、指を使って数えている。何でこんな簡単な計算できないんだろとイライラするが、自分のことをよくよく考えてみると、自分だってちゃんと計算してるわけではない。長い年月かけて一桁の足し算引き算の答えを覚えているだけのように思う。掛け算だって、九九を頭にたんに記憶しているだけ。数字をありありとした実感をもって計算しているわけでない。娘は数字を指に置き換えて自分の実感を確かめながら計算しているんだと思うと、少し気長に宿題につきあえるような気がする。
- 作者: スタニスラスドゥアンヌ,Stanislas Dehaene,長谷川眞理子,小林哲生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/07
- メディア: 単行本
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