危機の宰相

戦後最大のコピーである「所得倍増」を考え出した3人、首相の池田勇人、首相秘書の田村敏雄、経済学者の下村治を巡るお話。沢木耕太郎が1977年に雑誌に発表していた原稿を、2006年に30年ぶりに単行本として完成させたもの。


3人の共通点は敗者となった経験があるということ。池田、下村は病気で官僚の出世コースからははずれた存在。田村は満州で成功したものの敗戦で全てを失う。生きてるだけでもうけもんの人生の中で、「所得倍増」を軸に3人が巡りあう。産業政策を考えるならこれくらい歯ごたえのあるものを実行したい。何もやってないという批判をかわすアリバイ工作のためだけの施策はいらない。

危機の宰相 (文春文庫)

危機の宰相 (文春文庫)