「Steve Jobs」 と 「ポール・ランド、デザインの授業」

東京出張の時に酔った勢いで買った「Steve Jobs」。半年ほどほったらかしにしていたのですが、3月から毎日少しずつ読んでいます。ようやく230ページまでたどりつきました。最初は英語の世界に入り込むまでに時間がかかりましたが、いったん慣れてくると辞書なしでなんとか読み進められるようになってきました。書いてある内容は、どこかで読んだことがある内容が多いので、想像力を働かせればなんとかわかったような気になれます。


1985年にアップルを追い出されて、NeXTを立ち上げるところまで読み進みました。Jobsがすごいのは、自分が会いたいと思った人、何かを頼みたいと思った人には、直接でコンタクトをとって率直にお願いするところです。


NeXTを立ち上げるにあたって、まず手をつけたのが会社のロゴのデザイン。ロゴから始めるのも驚きですが、彼はそのデザインをIBMabcUPSなど名だたる企業のロゴを手がけたポール・ランドに依頼したいと考えます。しかし、当時、ポール・ランドは契約でIBM以外の会社のデザインをすることはできないことになっていたそうです。そこで彼は直接IBMに電話して、ポール・ランドにデザインを依頼することを許可するよう頼み込みます。どういう手を使ったのか、IBMの許可を得てポール・ランドに頼んでできた、ロゴがこちら。できたロゴを見て、Jobsは恐れ多くも、ポール・ランドに「e」の黄色はもっと明るい黄色がいいなどと注文をつけます。ポールは、変更をきっぱりと断り、デザイン料はきっちり払ってもらう。デザインを使うか使わないかは、あなたが決めればいい。といったやりとりがあったそうです。


ここまで読んできたところで、ポール・ランドの本、読んだことあったような気がして本棚を探したら、「ポール・ランド、デザインの授業」が出てきました。そのなかで、ポール・ランドがJobsについて、手強いクライアントだと言及しています。

私は考えようとしているよ、実際にありそうにはないが、もしもクライアントが才能あふれて正しければ、そうした相手とは争えないだろう。たとえば、ネクストのスティーブ・ジョブズはとても手強いクライアントだ。こちらが提案しても、何か気に入らないことがあれば彼は言うんだ。「全然だめですよ。」と。話し合いの余地はないんだ。その一方で、とても運がいいこともあった。ジョブズのためにロゴを作った時だ。みんな彼の家に集まっていたんだが、プレゼンテーションを見て、彼は立ち上がってから、ハリウッド式に床に座ったんだ。暖炉の火が燃えた、地獄のように熱くて(笑)。また立ち上がると、私を見つめて言うんだ。「抱きしめていいですか。」と。それがクライアントとデザイナーの衝突を乗り越えた時だった。

STEVE JOBS

STEVE JOBS

ポール・ランド、デザインの授業

ポール・ランド、デザインの授業