コンピュータが仕事を奪う

産業革命によって、農業や製造業でそれまで人がやっていた仕事が機械に奪われていったように、これからは一部のサービス業を除いて、ホワイトカラーの仕事はどんどんコンピュータに奪われてしまうだろうというのが著者の考え。


コンピュータが得意なのは、高速の計算力と圧倒的な記憶力を使って、限られた範囲の選択枝をしらみつぶしに検討すること。大量のデータからデータの相関を抽出すること。著者はこれを「1テラを聞いた」


で、人間に残される仕事は、2つに別れる。1つは、視覚や嗅覚など人間の五感でしか扱えないデータをコンピュータが扱えるような形に変換する仕事。著者はこのような仕事を、「人間がコンピュータの下働きをするようになる。」と言います。たとえば写真を見て、そこに何が移っているか判断してタグ付けすることや、沢山の写真の中からいい写真を抽出する仕事。これらの作業は、今のところコンピュータには出来ないが、人なら誰でも出来る作業なので、クラウドソーシング(ネットを通じて全世界の人に依頼)で、世界でもっとも低い水準の賃金しかもらえない。


もう一つの人間に残される仕事は、世の中の事象から意味を読み取りモデルを作ること。どんなに計算能力が高まっても、コンピュータがデータを眺めてそこから仮説を作ることはできない。コンピュータはデータの相関を抽出することはできても、因果関係を推測することはできない。


コンピュータに使われる側と、コンピュータを使う側に分かれるだろう。コンピュータを使う側になるためには、数学の言葉で世の中の事象を表現して、それをプログラムにしてコンピュータに作業させること。


自分の頭でちゃんと考えろということか。

コンピュータが仕事を奪う

コンピュータが仕事を奪う