世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記

著者の竹内さんは、東芝フラッシュメモリのエンジニア。フラッシュメモリ東芝半導体事業の柱として育て上げた人。93年に東芝に入社、2007年に退職して、今は大学の教授をされている。


私も91年から2001年まで、半導体メーカで働いていたので、その当時の状況を思い出しながら読みました。95年頃までは、日本企業がDRAM市場を席捲したものの、96年に価格が暴落してから韓国企業に押されっぱなし。今や、東芝以外の日本メーカはほとんどが統合されそうな状況です。


東芝だけが半導体ビジネスを継続できているのは、今もフラッシュメモリでサムソンと互角に戦うことができるから。そのフラッシュメモリの開発や、アップルやマイクロソフトなどの取引先との駆け引き、ライン立ち上げの様子がリアルに説明してあります。


竹内さんがすごいのは、エンジニアでありながら、マネジメントを勉強するためにスタンフォード大学に留学してMBAを取得していること。大学で量子光学の研究者を目指していながらメーカーに就職、技術者でありながら経営を勉強するために留学、再び半導体の基盤をささえる研究のために大学へ。次々と異なる分野に飛び込んで、分野をまたぐ知見を生かして活動されています。


本文にも何度か出てくる、半導体業界の「走りながら考える。」という表現がぴったりな人です。
"Leap before you look"

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

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