知はいかにして「再発明」されたか アレクサンドリア図書館からインターネットまで

人類が知識を産み出してきた場(制度)について、著者は6つに時代を分けて整理します。目次に従って古い順に言うと、

図書館  紀元前三世紀〜西暦5世紀
修道院  100年〜1100年
大学   1100年〜1500年
文字の共和国  1500年〜1800年
専門分野 1700年〜1900年
実験室  1770年〜1970年


「文字の共和国」という言葉は、この本で初めて知った。

文字の共和国とは、手書きの郵便書簡からはじまり、やがて印刷された書籍や雑誌によって縫い合わされることとなった学問の国際共同体・・・・

文字の共和国は、宗教と政治の混合体によってヨーロッパがバラバラに引き裂かれた瞬間に生まれた比喩的な方策であって、この危機の時代に、大学に代わってヨーロッパの学問を縫い集め、古き大学と競い合いもすれば互いに補い合いもする世俗的な学問の制度となった。

当時の学者は、遠く離れた地域の学者と手紙のやりとりをして共同研究をすすめていたらしい。今ではその存在をほとんど忘れられているベーレスクというフランスの学者は、その生涯に500人以上の学者と1万通もの書簡をやり取りしたそうだ。彼は、ガリレオが異端の罪に問われたときには、方々に書簡を送り、法王に近い人たちとガリレオの間を取り持っている。


さて、インターネットはいかに知を再発明することになるのか。本書では著者はこの質問に答えていない。電子化された知識が全世界で共有可能になり、世界中の人たちとリアルタイムで議論ができるようになる。このことで、図書館や大学の役割が変わっていくんだろうとは思う。ネットによって、調べ物が圧倒的に楽になった。以前なら図書館で資料にあたるしかなかった情報でも、ネットで検索すればたいていは手に入る。人間の思考様式や研究の体制にになんらかの影響はあるだろう。

知はいかにして「再発明」されたか

知はいかにして「再発明」されたか