標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学

今年は少し山歩きをしてみたいなと思っていたところで、本屋でたまたま目に入って読んで見た。日本人で初めて14座ある8000メートル級の山すべてに登頂した竹内洋岳さんの著書。


8000メートル超の世界は、宇宙に一番近い場所であり、そこへの登山を海での素潜りにたとえているところが面白い。

高所登山というのは、素潜りに近い感覚ではないかと思います。私は泳げませんから、実際に潜ったことはありませんが、酸素ボンベを使わないで海に潜り、一番深い底にタッチして帰ってくる、8000メートル峰の頂上も、深い海の底のような場所だという気がします。
フリーダイビングでは、海の中にある目印まで到達することが「目標」になります。しかし、到達して終わりではない。海の上まで生きて戻って来なければ、成功したことにはなりません。当然、呼吸を止めていられる時間には限界があります。海の底でのんびりしていたら、海面に上がってくるまでに息が続かなくなり命を落とすかもしれない。一刻も早く戻らなければ自分の生命が危険にさらされる場所。そういう意味で、8000メートル峰の頂上は、深い海の底にも似ていると思うのです。