国家(下)

プラトンの国家の下巻。


認識についての洞窟の比喩がでてくる。我々は洞窟の奥に向けて首を固定されていて、洞窟の奥の壁に映し出される、背後にある物の影を見ている。そして、その影の些細な違いについてあーでもない、こーでもないと議論しているに過ぎない。首を後ろに向けて、背後の物そのものを見ることが本質を認識すること。


プラトンは国家の種類を五つに区分する。優秀者支配制、名誉支配制、寡頭制、民主制、僭主独裁制。この順番で国家体制が遷移するという。優秀者支配制は、真実を愛する人が支配する国家、名誉支配制は、名誉を貴ぶ人が支配する国家、寡頭制は少数の金持ちが支配する国家、民主制は自由な民衆がくじ引きで支配者を決めるような国家、僭主独裁制は独裁者が支配する国家。


寡頭制の国家では、少数の金持ちがどんどん金持ちになり、そのたほとんどすべての人が貧乏人になっていき、あるとき貧乏人が反乱をおこして民主制へ移行する。民主制で自由と平等を謳歌した反動として僭主独裁制が生まれるという。


民主制の下で暮らす人は、

そのときどきにおとずれる欲望に耽ってこれを満足させながら、その日その日を送っていくだろう。

そして極度の自由が、極度の隷属を生み僭主独裁制につながるという。


国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8)

国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8)