寝台急行「昭和」行

関川夏央さんの鉄道に関する文章をまとめた本。著者が各地の鉄道に乗りに行ったお話。夏目漱石志賀直哉、松本成長、獅子文六らの作品の中で、どんなふうに鉄道が登場したのか。とか、明治以降の近代化の歴史が、過去への郷愁をたっぷり織り交ぜて語られる。


マニアじゃないけど鉄道は好きだ。今も東京に出かけるときは鉄道を選ぶ。窓からぼおっと景色を眺めたり、本を読んだりして過ごす時間が好きだ。


昭和50年代までの鉄道、国鉄の頃の話は懐かしい。古い客車は、ドアを乗客が自分で閉めないといけない。最後尾も開放したまま。中学生の時、駅に到着した汽車が停止する前に、ホームへ飛び降りたらひっくり返った。トイレは自由落下方式で停車中は使用禁止。大阪までの旅のお伴は、駅弁と冷凍みかんにプラスチック製の容器に入ったお茶。

少年時代、私は貨物列車の車掌車で暮らしたいと願った。

そうそう、私も車掌車に乗りたかった。

小学校に上がる前まで住んでいた市営住宅の高台から、北陸本線を行きかう汽車を眺めることができた。貨物列車が通ると全部で何両あるかと声に出して数えたりした。その頃は貨物列車の最後尾に車掌車が連結されていた。車掌車に乗って全国を旅したい。窓から外の景色をながめたり、デッキに立って風にふかれる姿を妄想した。中には執務用の机とか、暖房用のだるまストーブがあるらしい。


車掌車については、こちらが詳しい。 昭和の鉄道員のブログ:http://shinano7gou.at.webry.info/201107/article_5.html


寝台急行「昭和」行

寝台急行「昭和」行


関川さんの本は、こちらもお勧め

新装版ソウルの練習問題 (集英社文庫)

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