インフォメーション 情報技術の人類史

アフリカのトーキングドラム、文字、活版印刷、電信、電話、インターネット。これまでに使われてきた情報通信技術が概要をふりかえり、それぞれの技術が、人々の生活や思考に及ぼした影響がまとめていきます。500ページを超える大著です。


第1章 太鼓は語る(符号が符号でなない場合) はこんなふうにはじまる。

トーキング・ドラムで、簡潔な言い回しをする者はいなかった。鼓手は”家に帰れ”ではなくこう言い表した。

両の足に、来た道を踏ませよ
両の脚に、来た道をたどらせよ
おのが両の足と脚を
われらのものなる村に立たせよ

トーキングドラムは、話言葉の音の高低(=声調)を直接ドラムで表現して言葉を伝える。音の高低の組み合わせの種類にたいして、伝えたい単語のほうが多いので、間違いなく意図した言葉を伝えるためには、言葉を説明する言葉(=冗長性)が必要になるとのこと。昔の通信文で使われた「あさひのあ」とか「しんぶんのし」というのと同じ。


第2章 言葉の永続性(頭の中の永続性)では、「人類初の人工記憶装置」である文字について考えます。文字によって時と場所を越えて情報を伝えることができるようになり、初めて歴史、数学、法律、形式論理学が生まれたといいます。


電信以降の話では、クロード・シャノンの「通信の数学的理論」が何度も登場する。シャノンは、情報から意味を外して考えることで、数学的に情報を扱えるようにした。情報とは考えられる信号の組み合わせのうちから選ばれたひとつの組み合わせに過ぎない。よって確率としてあつかう。


遺伝子の話や、ミームの話。情報過多の話。それぞれの章だけでもお腹いっぱいになる内容。歴史の流れの中でインターネットの意味について考えてみたい人にお勧めです。

インフォメーション―情報技術の人類史

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