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海賊の経済学 見えざるフックの秘密

海賊の組織マネージメントの手法を、経済学の考え方で分析した本です。

  • 海賊の世界では、収入の格差が小さかった。船長と下っ端の船員でも2倍程度の違い。下っ端船員の待遇は普通の商船よりも格段に良かった。
  • どの船を襲うのか、航海を続けるのか、引き上げるのかなど、重要な運営方針は、船に乗っている海賊全員の投票で決めるなど、民主的な運営。
  • 船長も、船員全員の投票で決める。さらに船長の権力を牽制せるために、お宝の分配や船内の待遇を取り仕切るクオーターマスターと呼ばれるナンバー2の役職も任命した。両方とも不正をしたり、働きが悪いと船から追放されたらしい。
  • 戦闘中に腕や足を失った船員には、その後の所得保証あり。福利厚生制度も充実
  • 船の中で喧嘩は禁止、深夜の飲酒も禁止など、海賊の掟は結構きびしい。
  • 奴隷制がまだ普通に行われていた18世紀、海賊船にも黒人がたくさん乗っていたが、白人船員と同等に扱われることが多かった。
  • おとなしくお宝を差し出せば助ける。逆らうと何をされるかわからない。という評判を海賊たちは積極的に流布した。海賊といえばドクロと骨のトレードマーク。実はあれも海賊のブランディング戦略の一環。


海賊稼業もビジネス。従業員(乗組員)のモチベーションを挙げ、できるだけコストを押さえて、多くの収益をあげるための合理的な仕組。海賊の組織が民主的で平等なのは、いざ戦うというときに全員が全力で戦うモチベーションを持つために必要だといいます。不当な所得格差があったり、奴隷など不当に扱われている乗組員がいると、裏切ったり、適当に戦ってるふりをする者がでる可能性があるからです。


海賊は、捕まれば間違いなく死刑になるハイリスクな商売なので、短期間で効率よく稼いで早く引退するのが一番。そのための合理的な組織運営方法が、「見えざるフック」により自然に出来たというお話。それ自体の維持・存続が大事な目的になってしまった組織は、訳がわからんグダグダの運営になりますが、何かを成し遂げるための手段として出来た組織は、たとえ無法者の集まりである海賊でも合理的なマネージメントが行われたということです。


海賊の経済学 ―見えざるフックの秘密

海賊の経済学 ―見えざるフックの秘密