手から心へ 辰巳芳子のおくりもの

料理家の辰巳芳子を紹介したドキュメンタリー映画「天のしづく」を撮影した映画監督が、撮影の様子や辰巳芳子との関わりを紹介した本。


辰巳芳子の料理本は何冊か買って試してみたけれど、この人の料理はお手軽でもないし、ありあわせの材料で手短に作るという雰囲気でない。いい材料をそろえて、手間を惜しまず一生懸命作ろうと思う料理だ。昔ながらのやりかたに固執している訳ではない、そもそもどうあるべきかを突き詰めてみて、変えるべきところは変える人だ。1969年に料理の勉強にイタリアに行き、そこで生ハムに出会う。日本に帰ってきてから、当時誰もやったことがなかった生ハムづくりに挑戦したそうだ。


この本でも紹介されているが、天のしづくの中に、「おむすびには、どうして梅干しが入っているのか?」 と料理教室の生徒に問いかける場面がある。「菌の繁殖を押さえるため。」「じゃあ、どうして真ん中になきゃいけないの? おむすびを食べていって最後にしょっぱい大きな梅干しが残っても困るんじゃない。」「菌は外側からくるんだから、梅肉を細かくしておむすびの表面につけるべきなのよ。」


今日、友達とプールに行く娘に持たすおむすびをそのやりかたで作ってみた。梅肉を包丁でたたいてペースト状にしたものを手のひらにのせ、おむすびの表面にまぶしながらおむすびを作る。味見してみると、一口目から、梅の味がご飯と一緒になっていておいしい。


これからは、おむすぎはこのやり方でいこうと思った。

手から心へ 辰巳芳子のおくりもの

手から心へ 辰巳芳子のおくりもの