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データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

ウエアラブルセンサのデータを分析してわかったことが紹介されています。面白かったです。著者は日立製作所の中央研究所の方。


まず、最初はに登場するのは、時間の使い方の法則。


左手の手首に着けたセンサーで、腕の動きを24時間毎日記録します。人は一日にだいたい7万回腕を振動させるそうです。1分ごとの振動回数をカウントしてみると、1分ごとの振動回数の配分比率には全ての人に当てはまる法則があるといいます。具体的には1分間に60回以上振動させる時間帯が1日の1/2であるとすると、120回以上振動させる時間帯の割合は1/4、180回以上振動させる割合は1/8と振動回数の比率の累乗に反比例します。


計測した全ての人にこの法則に当てはまるそうです。腕の振動数=活発度と考えると、毎日の生活の中で、活発に動ける時間帯、静かに過ごす時間帯の配分比率はあらかじめ決まっているということです。つまり、一日中、全力で動き回ることも無理があるし、逆に何にもしないでぼーっと過ごすことにも無理があるということになります。確かに朝から全力で仕事したときには、夕方くらいになるとプチッとスイッチが切れたように感じることがあります。スイッチが切れたあとは、職場に残っていても集中できずぼーっと過ごすことになります。逆に一日中布団の中で安静にしているのも無理があるということになります。


次に、ウエアラブルセンサで職場の活気を分析した事例が登場します。


名札型のウエアラブルセンサは、身体の振動に加えて、誰と会っているのか、職場のどこにいるのかを記録することが出来ます。これを使うと、活動的なある人が、誰かと話をするとその人も活発になる。そして次の人にも伝わっていくというふうに、活発度が職場に伝染していく過程がわかります。あるコールセンターでの実験では、休憩室での会話を増やすようにしたところ、従業員全体の活発度が高まり、仕事の成績(成約率)も上がったそうです。著者は、職場の雰囲気をよくすることで、個人プレーのコールセンターでさえ仕事に効果がある。チームプレーが必要となる職場では効果は計り知れないといいます。


このような大量のデータ、ビッグデータを有効に活用していくためには、今後は、データの分析を人手に頼っていては駄目で、今まで人の経験と勘に頼っていた仮説の立案をコンピュータの馬鹿力でやることで、今まで見えてこなかったものが見えてくるといいます。


店舗の中における時間ごとのお客さんと従業員のいた位置、動き、会話の状況、顧客ごとの売上高などの大量のデータを著者が開発したシステムで解析したところ、従業員が店舗のある場所にいる時間が長いほど、客単価が高くなるという結果が出た事例があげられています。実際にその仮説に基づいて、従業員がその場所にとどまるようにしたところ、なぜそうなるかは、従業員もわからないけれど実際に客単価が15%上がったとのこと。


今は、携帯電話や、車のナビのGPS機能で、人や車の動きがリアルタイムでわかるので、そんなデータを使えば地域経済や観光の振興に向けて面白いことできそうだと思いました。