ある家族の会話

イタリアの作家、ナタリア・ギンズブルグの自伝的小説。須賀敦子が翻訳しているので読んでみた。


何気ない家族の会話、日常生活の説明が延々と続く。その中で、20世紀初め頃の子供時代から、徐々にファシズムが台頭して、戦争に家族が巻き込まれていく。兄弟が成長し就職し結婚していく。子供が生まれる。両親が段々年老いて行く。そんな様子が描きだされていく。


読んでいってもなかなか小説らしいお話の展開が始まらず、延々と父と母が喧嘩したとか、父と長男はそりが合わず気まずい思いをしたとか、メイドの誰それはいじわるだとかいうような話がずっと続くので、どうしたもんかと思いながら読み進めたが結局最後までそんな調子で終わった。でも、社会の様子や時代の移り変わり、家族の歴史が伝わってくる不思議な小説だった。


ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)