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沈黙の山嶺 第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト 下

 1921年〜1924年のイギリスによるエヴェレスト遠征隊の記録。下巻は1922年と1924年の遠征についてだ。

 

遠征隊の主要メンバーのほとんどが第一次世界大戦に兵士や軍医として参加している。そして、同じ部隊のほとんどが死亡したり、何エーカーにもわたり傷病兵が横たわる中を、助かる見込みがあり治療すべき人とそうでない人を区別し治療にあたるような修羅場を経験している。そのような経験を背景にそれぞれのメンバーが遠征隊に加わったことを丁寧に描く。メンバーの一人、ジョン・モリスは1922年の遠征から帰ってきてからの手紙にこう書いている。

いずれにしても私の世代は戦争でもっとも苦しんだ世代で、もともと数少ない友人たちもみな死んでしまっていた。私も戦死していたらよかったのにと思うこともあった、なぜなら当時、戦争に積極的にかかわっていた者とかかわっていなかった者との間には埋められない溝があったからだ。

 

この本は、遠征に参加中に妻のルースへ書いた手紙から、マロリーの行動や考えてきたことを掘り起こしている。他のメンバーについても日記や手紙の記述を再現している。当時の人達が家族や友人達と非常にこまめに手紙を書いてやり取りしていること、そしてイギリスがそのような手紙のやり取りを可能にする、本国とインド、チベットを繋ぐ通信インフラを確立していたことに驚く。

 

巻頭の白黒写真に写るメンバーの面構えがいい。

 

沈黙の山嶺(下) 第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト

沈黙の山嶺(下) 第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト