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空白の五マイル チベット、世界最大のツアンボー峡谷に挑む

 イギリスのジョージ・マロリーがエベレストの頂上の直下で遭難したのが1924年。イギリスのエベレスト遠征については「沈黙の山嶺」でこの前読んだばかり。その同じ1924年にイギリスの探検家キングドン・ウィードが、チベットを流れるツアンボー川の前人未到の峡谷の奥深くを探検している。

 

ツアンボー川はヒマラヤ山脈の北側を西から東に流れ、山脈の東端近くでで大きく南を方向を変えて、ヒマラヤ山脈を通りぬけインドのアッサム州に至り、最後はガンジス川と合流する。20世紀に入ったころは、ツアンボー川がヒマラヤ山中に姿を消したあとどこに流れているのかが謎となっていて、数々の探検家がツアンボー川の屈曲部=ツアンボー峡谷を探検していた。

 

キングドン・ウィードも全流域を踏破できたわけでなく、峡谷の最深部5マイルは人跡未踏のまま残された。この本は、その最後の5マイルを著者の角幡唯介さんが、単独行踏破した記録だ。

 

大規模な遠征隊を組んで出かける訳でなく、日本からひとりで出かけ、現地でひとりふたりのポーターを雇って外国人立ち入り禁止となっているツアンボー峡谷に潜りこみ探検する。中国の公安当局の目をかいくぐり、現地の人と交渉しながら旅をつづけるところも面白い。もちろん、峡谷にひとりで入り、ヒルやダニに苦しめられ食糧を食い尽くしながらも、なんとか人が住んでいる村にたどり着く過程は、読みだしたらやめられない。

 

角幡さんのほかの本も読んでみたくなった。