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株式会社 東芝 第三者委員会調査報告書(要約版)

東芝の不正会計問題で何が行われたのかのか、きちんと押さえておこうと思い、第三者委員会の報告書を読んでみた。

 

その中でも個人的に興味があった、第5章「ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に係る会計処理」についてまとめてみる。

 

一つ目の問題点は、見込み生産をしていた製品が顧客の都合でキャンセルになり、製品在庫についてはきちんと時価評価した。この場合は売れる見込みがないので、備忘価格(=¥1)にまで評価減した。ところが、生産工程の途中にある仕掛品については評価減をしていなかった。完成品よりも仕掛品のほうを高く評価したいたことになり、明らかにおかしい。仕掛品を高く評価した分、払い出し原価は過少に計算される。コストが小さくなるので、利益が水増しされることになる。

 

二つ目の問題点は、かなり経理処理に通じていないとわかりずらいと思う。東芝半導体事業では、予算時に標準原価を計算し、期中はその単価で仕掛品を評価していた。ただし、大幅な生産の変動等があり、実際の原価が標準原価と大きく乖離する場合は、期中においても標準原価を見直して、仕掛品の評価単価を改定する。この評価単価の改定は、本来であれば全ての工程で行わなければならないはずなのに、東芝は、半導体生産工程のうちの前工程のみでしか行っていなかった。生産数量が大幅に減少すれば、後工程においても単価は変動するし、前工程の単価改定だけを行い後工程の単価改定を行わなければ、後工程で大きな原価差額が発生する。(原価差額とは予算単価と実際原価との差額のこと。)期末にこの原価差額を、棚卸資産額と払い出し原価に按分しなければならないが、東芝においては、前工程、後工程で発生した原価差額を、前工程の在庫数量、後工程の在庫数量、払い出し数で按分していたという。

 

後工程の標準原価を見直していないため、後工程で大きな原価差額が発生することが明らかであるにも関わらず、前工程の在庫数も含めて、原価差額を按分することになり、在庫が過大に評価されることのなる。

 

昔は、棚卸資産の評価は原価主義(=取得するためにかかった費用を積算して評価する。)だったけれど、今は時価主義(市場で売れる価格)で評価することになったのだから、一つ目の問題点は明らかにおかしいし、意図的にやったと疑われてもしょうがないだろう。二つ目については、そういうルールでずっとやってきたと言えばそうかもしれない。

 

要約版であれば、読むのにそれほど時間はかからないので興味ある方は是非ご一読を。

 

東芝 第三者委員会調査報告書(要約版)

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150720_1.pdf