経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い
経済学の基本的なトピックスから最近の話題まで、まんべんなくバランスよく扱われている。しかも、数式は一切なし。読んで面白い。各章の内容を目次から抜粋すると、
1 市場の力
2 インセンティブの重要性
3、4 政府と経済
5 情報の経済学
6 生産性と人的資本
7 金融市場
8 利権団体の力
9 スコアをつける
10中央銀行
11国際経済学
12貿易とグローバリゼーション
13開発経済学
経済学で押さえておくべきポイントは網羅されているし、例え話も面白いので経済学に興味ある人におすすめです。
読んでみて私が興味をひかれたのは、経済成長に必要なものはいろいろあるけれど、人的資本に投資することがその中でも重要なポイントだというところ。その国に天然資源があるとかないよりも、政府が経済活動を支える制度をきちっと維持して、将来の生産性向上のために、教育にお金をかけることのほうが経済成長につながるといいます。
人的資本については、地方にとって悪い話もでてきます。優秀な人材ほど大都会に出て行ってしまうということ。
経済学者たちは、同じような技能と経験を持った人は都市部のほうがそれ以外の場所よりもかなり高い賃金を稼げることを発見している。なぜか?考えられる説明の一つは、専門特化した技能はそれを補う技能を持つ他の労働者がたくさんいる大都市部のほうが価値が高いから、というものだ(シリコンバレーや、マンハッタンの心臓手術センターを考えてみてほしい)。
「だって、都会のほうが給料もいいし、転職もしやすいんだもん。」となると、ますますたくさんのひとが大都市に行ってしまう。それをひっくり返すには、ある分野に特化して、どんな手を使ってでもその分野のトップクラスの人たちに来てもらうことを考えるべきなのかもしれない。