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戦争と平和

 中学生の頃に読んでみようと思い立ち1巻と2巻を買ったものの、100ページくらいであまりの登場人物の多さとロシア人の名前の覚えにくさのため挫けてしまい35年ほど放置してあった新潮文庫をひっぱり出してきて読み始めたら、面白くて3巻と4巻も買って最後まで読んだ。

 

乱暴にまとめてしまうと、ロストフ伯爵家とアンドレイ公爵家の人々の人間関係を機微をあらわした「渡る世間は鬼ばかり」のようなドラマであり、ナポレオン率いるフランスがロシアに攻め入り、モスクワを占領したもののロシアの反撃に撤退するまでの戦記であり、恋愛ドラマの要素も、トルストイ歴史観とお説教も入った盛りだくさんな小説。

 

トルストイは、戦争の勝敗を左右するのは、ものすごい能力を持った超人的な皇帝や天才的な司令官ではない。ひとりひとりの兵士の活動の積み重ねとその流れが戦争を動かしていることを強調します。そのためナポレオンも、ロシアのクトゥーゾフ総司令官も、その時々の戦況に翻弄され、部下に翻弄され、そうするしかないようなことをただ命令するだけのリーダーとして描かれます。

 

そして、エピローグでトルストイは、歴史も同じように一握りの英雄の能力や性格や気分で動いているのではない、ひとりひとりの庶民の活動が合わさって歴史の流れになっている。船の舳先の女神像が船を動かしているのでなく、たまたま目立つところにあるだけであるように、英雄や権力者が歴史を動かしているのでないと言います。

 

トルストイは、実際にクリミア戦争の激戦地セワストーポリの攻防戦に参加しているだけあって、戦場の描写は実にリアルです。アンドレイ公爵が敵の弾にあたり落馬して、地面に仰向けに倒れてから気を失うまでの間に、ぼんやりと静かに青空を眺める場面が印象的です。

 

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

 

 

 

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