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なかなか言えないこと。

7年前に父が亡くなってから母は一人暮らししている。実家は大きな家なので草むしりや季節の模様替えなどで何かと手間がかかるので、月に一度くらいは用事を手伝いに実家へ行く。そのついでに一緒にご飯を食べながら母のよもやま話を聞いてくる。

一人暮らし暮らしだとどうでもいい話ができないのだろう。晩御飯を食べながら、近所の誰それさんがボケたとか、あそこの家の息子さんがどうしたとか、そんなどうでもいい話を一方的に母がして、私がそれにあいまいな返事を返すのだ。

一度だけどきりとさせられたことがある。この前の戦争の時の日本の中国でもふるまいについてテレビで放送されていたときに、急に母が真顔になって言ったのだ。「小学生くらいのときに、じいちゃんが近所の友達と戦争に行ったときの話をしているのを聞くのがいやだった。」と。戦争に行って現地の人にいろいろと悪さをしたことを自慢げに話しているのが嫌だったそうだ。

私の祖父は、15年前に亡くなっている。大工で非常に寡黙で穏やかな人。お盆や正月に合うといつもニコニコしながら、連隊の中で走るのが一番速かったと言っていました。そんな祖父に意外な一面を知ったことと、突然そんな話を母が持ち出したことに戸惑い、何も返せなかった。

親子でも、親子だから、なかなか言えないことがある。だから、月に一度は顔を出して昼行灯みたいな顔をして話を聞こうと思う。