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サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

 サイロは穀物や飼料を保管する塔のような形をした倉庫のこと。腐食を防ぐため機密性に優れているが、ここから組織間の風通しが悪くなることの喩えとして使われる。日本語で言えば、蛸壺とか縦割り組織とかいうのだろう。

 

サイロに囚われた失敗例として挙げられているのが、グループ内に音楽コンテンツもミュージックプレーヤーを開発し製造する技術も持っていたにもかかわらず、アップルに市場を奪われてしまったソニー。既存のサイロの縄張りに当てはまらない新種の金融商品を無視したために、リスク評価を見誤り危機を招いた金融業界と経済学者たち。

 

サイロの壁を乗り越えた成功例としては、内科、外科などの専門組織を廃止し患者の満足度を向上させた病院、警察の担当地区間の情報共有を進めて殺人事件が発生しそうな場所を予測、それに基づいて警察官を配備して発生率を低下させたシカゴ警察などが挙げられている。

 

サイロは必ずしも悪いものではない。専門家が効率よく日々の業務をこなすためには必要となる。しかし、新しい事象が発生した場合には、サイロとサイロの間にこぼれおちて誰からも見えなくなる。

 

サイロの弊害を防ぐためには、状況に合わせて組織を変えていくことも大事だが、従業員がアウトサイダーの目でサイロを眺められるように動機付けすることも重要。目に見えないサイロの掟をあぶり出すためには人類学の手法を応用することが有効とのこと。

 

サイロは、ある程度の規模の組織なら誰もが経験する問題。いくら組織をいじっても、お題目のように部署間の連携を呼びかけても効果なし。結局、サイロなんか気にしない人をどれだけ巻き込めるか、経営者がそんな動きに注目し、引き上げることができるかしかないような気がする。

サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠