病の皇帝「がん」に挑む 人類4000年の苦闘

上巻にあるインタビューで、医師でもある著者は、がんの患者さんに向けて、がんというのはどんな病気かを詳しくに説明して、ありのままを知ってもらうためにこの本を書いたと答えている。

 

腫瘍を取り除く外科手術、がん細胞だけを殺す薬を探し求める化学療法、放射線治療、分子標的薬など、がんの治療の歴史を語る。また、近代以前にには黒い胆汁が体内に澱むことががんの原因と考えられていことや、ウイルス、細菌、アスベスト、タバコ、放射線、遺伝子の変異など、がんの原因を探求する歩みも網羅する。

 

今まで断片的にしか頭に入っていなかったがんに関する知識が一つにつながった。現時点でどんな種類のがんでも一発で無くしてしまう治療法はない。かといって、治療法が全く進歩していないわけではない。正常細胞の遺伝子の変異が蓄積していくことで、徐々にがん細胞に変化していく経路はわかってきたし、その経路をどうやったら遮断できるかも少しづつ明らかになっている。ただ問題は、がん細胞が多様であることと、変異することで治療法に耐性を持つこと。だから、検診、スクリーニング、外科治療、化学療法などの、これまで開発されてきた様々な治療法を組み合わせながら生涯付き合っていかなければならない。

 

恐れたり、諦めたり、見くびったりする必要はなく、できることをやっていくだけ。面倒だと避けてきた大腸癌検診を受けようかという気になった。

 

病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 上

病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 上

 

 

病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(下)

病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(下)