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心臓の科学史 古代の「発見」から現代の最新医療まで

 心臓の病気とその治療法に関するあらゆることについての本です。心臓カテーテル法、冠動脈造影法、人工心肺、ペースメーカー、心臓移植、人工心臓バイパス手術、アンギオプラスティー、ステント留置術、スタチンの開発などなど。

 

初めて心臓の外科手術が行われたのが1893年。そこから100年余りで上記のような各種治療法が開発されたと思うと、医学の進歩は目覚ましいと素直に思う。そして、昔のお医者さんの野蛮さというか、思い切り方にも驚く。1929年に初めて心臓カテーテルを試した、ドイツの医師フォルスマンは、自分の腕からカテーテルを入れて心臓まで到達したかどうかを確認するため、カテーテルを入れたまま地下のX線撮影室まで歩いて行ったそうだ。

 

血液中のコレステロールを低下させるお薬、スタチンの開発では遠藤章という日本人が主人公だ。コレステロールは細胞壁の形成に不可欠であることから、ある種の菌類は他の細菌を攻撃、抑制するためにコレステロールの形成を阻害する物質を作りだしているはずだとの見込みのもと、何千種類もの菌類を調べる。何度も失敗しながらついに世界で初めてスタチンを発見する。残念ながら治験の途中で副作用が出て日本での開発は中止となったため、製品化はアメリカの製薬会社に先を越される。

 

医療に対しては、何もわからないので100%お医者さんにお任せしてしまうか、何かおかしなことやっているんじゃないかと全てを疑いの目で見てしまうか、極端な受け止め方をしてしまいがちだけど、こういう本で医療の歴史を少しでも知ると、今の段階ではここまではできるけど、こういう治療は難しいと、冷静に状況を見ることができると思う。

 

とにかく読み物として面白いので、心臓に不安がある方もない方も是非ご一読を。

心臓の科学史  -古代の「発見」から現代の最新医療まで-

心臓の科学史 -古代の「発見」から現代の最新医療まで-