エカチェリーナ大帝(上)(下)ある女の肖像

 エカチェリーナ2世はロシアの女帝で、在位期間は1762年から1796年。北ドイツの諸侯の娘であったが、ロシアの王室に嫁いで皇位を継承する。在位中には、黒海艦隊を設立し、トルコとの戦争に勝利。ウクライナクリミア半島を併合する。また、プロイセン、オーストリアと図り、ポーランドの領土を分割するなど、ヨーロッパにおけるロシアの影響力を大いに高め、エカチェリーナ大帝と呼ばれる。領土の拡張などの皇帝としての華々しい功績とともに、常に愛人を欠かさなかった派手な私生活で知られる。

 

彼女が書いた千通を超える手紙が残されていて、その中には愛人との赤裸々なやりとりも含まれている。この本でも最も重要な愛人であり、最も有能の部下であったポチョムキンとの痴話喧嘩の生々しい手紙が引用されている。

 

フランス、プロイセン、オーストリア、トルコ、イギリス、ロシア。ヨーロッパの有力国が自国の影響力を増大させ領土を拡張するために、騙したり騙されたりの同盟関係を築いたり壊したりしてきたこと。そして、それが今の国際関係の背景に引き継がれていることがよくわかる。特に、クリミア半島黒海へつながる窓として非常に重要であり、エカチェリーナが露土戦争で勝利して獲得し、その後もクリミア戦争で、イギリス、トルコと血で血を洗うような激しい戦いを繰り広げている。最近もウクライナと揉めているいるが、これまでの経緯を考えてみると、ロシアはウクライナからはどんな手を使ってでも取り返すことになるだろうと思った。

 

エカチェリーナ大帝(上): ある女の肖像

エカチェリーナ大帝(上): ある女の肖像

 

 

エカチェリーナ大帝(下): ある女の肖像

エカチェリーナ大帝(下): ある女の肖像

 

 

 クリミア戦争についてはこちら。

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トルストイクリミア戦争の激戦地セヴァストーポリを描いて出世作となった作品はこちら

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