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いつも「時間がない」あなたに  欠乏の行動経済学

明日に仕事の締め切りが迫っているのに全然できていない。時間が足りない。借金の返済期限が迫っているのに急な出費でお金が足りない。好きなだけ食べたいけれど、ダイエット中で十分食べられない。あたたかい人間関係が足りない、恋人や友達がほしくてたまらない。

 

こんなふうに何かが足りない、欠乏していると主観的に思ってしまうと、そのことが頭を離れななり、心の中の優先順位の1番を占めてしまう。そうなると、

  1. 集中力が高まり、問題解決のための土壇場の馬鹿力が発揮できる。
  2. 欠乏していると思っていることに集中するため、それ以外のことが頭に入ってこなくなり、いろんなことに対処する能力=処理能力が落ちる。

欠乏に追い込まれると一時的に1.の良い効果もありますが、長期的には2.の悪い影響が強くなるそうです。処理能力とは、認知したり論理的に推論する能力、自分の気持ちを制御して、優先順位をつけて段取りよく処理する能力のことです。能力の低下は、自分の心がけでどうにかなるものでなく、無意識のレベルのミリ秒単位の反応速度においても著しく低下するそうです。著者は、学生にゲームをやらせて実験したり、現実に貧困に困っている人を調査して、この仮説を検証していきます。

 

貧困に苦しんでいる人は、怠惰で能力がないから貧しいのではなく、貧しいから、仕事が手につかず、無能だと思われるし、貧しいから自分の感情を制御できず無断欠勤して、怠惰だと思われるようになるのだ。

 

貧困対策を立案する上では、貧しい人たちの心がけや処理能力に頼るような施策を避けなければうまくいかない。また、自分の仕事をうまくやっていくためには、自分の処理能力の総量は限られているのだから、睡眠や食事の時間を削って無理すると、しっぺ返しがくる、処理能力を無駄遣いしないようにというのが結論。

 

何かが欠乏している。もっともっと欲しいと思うのは、執着すること。執着が苦の始まりという仏教の考え方と同じじゃないかと思った。

 

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)