仏教思想のゼロポイント(再読)

 目で見る、耳で聞く、鼻で匂う、舌で味わう、肌で感じる、頭で意識する。感覚器官から入ってくる刺激に対して、人は常に、快く感じる、不快に感じる。好きだと思う、嫌いだと思う。自分にとっていいことか悪いことなのか判断している。その判断をもとに、それぞれの物語を紡ぎ出す。そして、その物語を実体化して、思い通りになれば有頂天となり、思うようにならないと満足できずに苦しむ。一切皆苦の「苦」は肉体や精神の直接の苦しみというよりは、満足できずにもっともっとと求めてイライラすること=不満足だと著者は言う。

 

ブッダは感覚器官からの刺激や意識に浮かぶことに対して、いちいち良い悪いを判断するな、イメージを作るな、物語を作るな。と言う。そんな妄想が集まった束が自我だと言う。

 

悟りとは、常に意識することで妄想のクセを抜け出して、自我を脱却すること。ブッダが言ったことは大変シンプルだ。

 

仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か