私の実家は海のすぐ近くにある。

 

歩いて3分で海岸に着く。夏になると、家で水着に着替えて浮き輪を腰にセットして海まで歩いた。午前中から泳ぎ始めると、昼頃に母がおむすびとスイカを持ってきてくれる。それを食べて夕方まで泳ぐ。

 

昼間は暑いので、夕方、日が傾いた頃から泳ぐこともあった。5時過ぎくらいにやおら海岸に行ってしばらく泳ぐ。海にプカプカと浮かびながら日本海に沈んでいく真っ赤な夕日を眺める。太陽から自分に向かって一本の光の道ができる。日が沈んだ後に空が一瞬真っ赤に染まり、藍色から黒へゆっくりと変わっていき、星が瞬き始める。そんな景色を眺めながらおむすびと重箱に詰めたおかずの晩御飯を食べる。その頃には心地よい風が陸から沖に向かって吹き始める。風があるので蚊に刺されることもない。