すごい物理学講義

一般相対性理論量子力学を統一して説明する重力量子理論の一つである「ループ量子重力理論」を解説する。空っぽの空間があり、その中で素粒子が動いているのではなく、空間自体が粒状になっているという考え方。粒状ということは空間にも、原子のようにこれ以上分割できない最小の単位があるということ、つまり無限に小さく分割できないということだ。

 

重力量子理論としては、すべての素粒子はひも状の何かが振動しているものであるという「超ひも理論」が有名だが、「ループ量子重力理論」はそれに対抗する理論だそうだ。

 

この本が面白いのは、最先端の物理理論を説明するために、まずは古代ギリシャアキレスと亀パラドックスや哲学者デモクリトスの原子論から説き起し、コペルニクスガリレオニュートンアインシュタインらの世界の見方の根本をざっくりと説明している事。さらにダビデルクレティウスの詩がいかに現代物理学の世界観に近かったかを、彼らの作品を縦横無尽に引用しながら説いていく。

 

優れた物理学者も詩人も同じように世界の成り立ちの兆候を掴む。物理学者はそれを数学という言葉で表現し実験で証拠を掴む。こうして証明されるかりそめの理論も、いつかは、さらに包括的な理論に乗り越えられる。

 

素人にも楽しんで読めるいい本だ。ただ、タイトルを見ただけでは内容の素晴らしさが伝わらないのが残念。

 

 

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