高島野十郎画集 作品と遺稿

高島野十郎は福岡県出身の画家、1890年生まれ。生涯、解像度の高い写実の絵を描き続けた人。テレビの「なんでも鑑定団」で紹介されていた蝋燭の絵と月の絵が非常に気になり画集を買ってみた。

 

蝋燭の絵は、蝋燭がひとつ暗闇の中で灯っている。親しい知人に渡すためだけに何枚も描いていいたそうで、この画集にも13枚が収められている。ただ蝋燭の炎を描いただけなんだけど 、炎のゆらめき加減や色合い。光で半分透けてみえる蝋燭の質感などじっと見ていても飽きない。

 

画集の一番最初にある月の絵は、真っ暗らな夜空に、画面の上から4ぶんの1くらいのところに満月がぽっかりと浮かんでいるだけの絵。最初は木々や空に浮かぶ雲も描いていたが、余分なものははぶかれて最後は月と夜空だけになったようだ。それだけなんだけど、月の光が闇に滲んでいく感じや、暗闇の色合いの微妙な変化が、確かに目で見るとそんな感じがすると思わせる。

 

生前は画壇とつきあいもなく孤独に描いていたそうで、評価されることもなかった。福岡県立美術館での回顧展をきっかけに再評価されるようになったそうだ。

 

夜な夜なベッドに入って一枚ずつじっくり眺めるのが楽しみだ。

高島野十郎画集―作品と遺稿

高島野十郎画集―作品と遺稿