官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則

職場では作成しなければならない書類が年を追うごとに増えていく。業績評価を客観的にやろうとすればするほど細かい書類を作らされる。また、何か問題が発生するとその対策として何らかの規則が追加され、その規則に従っていることを説明するための書類が増える。

 

著者は規制緩和、自由化、市場原理の導入を進めたところでペーパーワークに象徴される官僚制による支配が弱まることはないと言う。そもそも資本主義、市場経済と官僚制は対立するものではなく、もともとは大きな組織を動かすこと適した官僚制というしくみを企業にも用することで企業は規模を大きくしてきたのだ。

 

また、官僚制は非効率だ批判されるが、人々は内心では官僚制を気に入っているのではないかと言う。それは官僚制が建前の上では、ルールに則って運用される公平な制度ということになっているからだ。属人的で恣意的な運用がなされる制度のもとでの、次の展開が読めないという不安に比べれば、書類を山ほど作らされるが、明示された規則に則ったお役所仕事の方がましなのだi。

 

著者は人類学者でウォール街占拠運動にも関わる活動家。現代の社会をうまく動かしていくためには、いろいろ問題あるけれども資本主義や官僚制しかない。という考えに反対する。長い人類の歴史の中では何百、何千といった政治・経済システムが採用されている。現代のテクノロジーとそれらを組み合わせれば、資本主義。官僚制の代替となる制度があるはずだ。という考え。

 

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則