極夜行

 「空白の五マイル」で、チベットの人跡未踏の地、ツアンボー峡谷を踏破した、角幡唯介が、今回は、冬の北極圏の太陽を拝むことができない暗闇(極夜)を旅をする。

 

デポしておいた食料が白熊に食い荒らされたり、出発して間も無く、星の位置で現在地を割り出すために準備した六分儀をブリザードに吹っ飛ばされたりと、ついていない出来事が続く。それでも、コンパスと月明かりを頼りに先に進む。

 

食料となる麝香牛やウサギを求めて月明かりのもとを彷徨い歩く場面では、焦燥感で読んでるほうが息苦しくなる。旅に出てしまえば、全てのひとりで引き受けざるを得ない、単独行の緊張感がヒリヒリと伝わってくる。

 

3ヶ月以上の暗闇の後に見る太陽の光は、どんな風だったのだろう。

極夜行

極夜行