へたも絵のうち

 表紙に描かれた猫ののんびりとした気持ち良さげな顔に惹かれて買った。

 

熊谷守一1880年岐阜県恵那郡生まれの画家。1977年に97歳で亡くなっている。画壇とは一線を画して仙人のように暮らしていたそうだ。夫婦二人だけの晩年の一日の過ごし方を紹介した冒頭の文章がいい。朝起きて朝食をとると庭に出て、熊谷自身は庭いじり、奥さんは鳥の世話。それが終わると二人で碁を打つ。昼ごはんの後は夕方まで昼寝。絵は夜に描いていた。体調が悪かったこともあり30年間ほぼ家かれ外に出ることなく毎日同じように過ごしていた。

 

若い頃は写実的な絵も描いているが、年齢を重ねるにつれどんどんシンプルになり、輪郭を描いて色を塗りつぶしたような絵になる。表紙の猫も無造作に描いているようだが、筋肉の盛り上がり具合や顔の表情はリラックスした猫の特徴をが出ている。

 

マティスのようなシンプルな線と美しい色使い。この目で実物を見たいと思った。

へたも絵のうち (平凡社ライブラリー)

へたも絵のうち (平凡社ライブラリー)