線量計と奥の細道

 ドリアン助川さんと言うと、新聞に連載されていた人生相談の印象が強くて、今でも気になる人。著書を見つけると手にとって確認する。

 

この本は、芭蕉奥の細道で旅した道を折りたたみ自転車で辿る旅行記だ。時は2012年、東日本大震災の1年半後、放射線線量計で各地の放射能レベルを測りながら旅する。奥の細道のゆかりの場所を探して、何気ない田舎の町の何気ない街角を徘徊する。夜はそれぞれの土地の何でもない居酒屋で酒をのみ、ビジネスホテルに泊まる。全行程を自転車で走破することにこだわるでもなく、天気が悪ければ電車を使ったり、知り合いの車に乗せてもらう。そんなゆるい感じが今の私にちょうどいい。

 

この前行った愛知県の半田市、今週仕事で訪ねた福井県鯖江市など。特に有名な観光地でなくても、昔の街並みが残り生活の息遣いが感じられる土地はいい。あまり事前に知識を詰め込まずにぶらぶらすると、街の素の姿に直接向き合えるような気がして楽しい。この本で登場する街の中では糸魚川に行って見たいと思った。公共交通機関と折り畳み自転車の旅も面白そうだ。

線量計と奥の細道

線量計と奥の細道