何を優先すべきか

新聞では、コロナウイルスの影響で2020年の経済成長率はマイナス3〜6%になる見込みとある。これまでの私であれば、「これは大変だ。大不況、失業者が大幅に増える。どんな手段を使ってでもマイナス成長避けなければ。」と受け止めただろう。今は、「多少経済がマイナスになっても、とにかくコロナウイルスの感染拡大をまずは阻止しなければ。できるだけ早く阻止して、経済のことはそのあと考えればいい。」と思う。新聞の紙面に登場する、経済成長率、GDP、マイナス、などの単語がどこか他人事のように感じられる。今は、安心して外出して人と会って話ができる状態に戻すことが一番大事だ。人の優先順位なんて、状況次第で簡単に変わってしまうもんだ。
 
経済が数%マイナスになっても、自分の生活は、住むところと食べるがなくなるわけでないので、なんとかなる。でも、経済が数%マイナスとなるダメージは、全員に満遍なく及ぶものではない。どうしても、一部の人に偏ってしまう。人によっては、収入が50%、100%減ってしまう。逆に、変わらない人、増える人もいるだろう。そんな人たち全部を平均してのマイナス数%なのだ。
 
だから、今回、感染拡大を防ぐために休業しなければならない業種には補償をしなければならない。対象業種が休業してくれるおかげで、感染を抑えるという社会全体にとっての効果があるのだから、休業の費用は社会全体で負担すべきだ。そうしないと痛みが一部の人に偏ってしまう。
 
だから、感染防止のための政策と、コロナ後の経済対策を厳密に分けて考えないと混乱する。個人への10万円配布は、お金がないから働きに出かけないと死んでしまうという人が外出するのを抑制するため、人々を家にとどめておくためのお金。感染防止の費用だ。だから、貯金に回ろうが、消費拡大の効果がなかろうが関係ない。お金の心配をしないで家に居てもらえるように、できるだけ早く配らなければ意味がないのだ。それは、休業要請の対象となる企業への補償も同じ。
 
今はまだ、感染収束後の経済対策を考えるべきときではない。コロナは長期戦になりそうなので、今予算措置したところで社会が大きく変わってしまい、役に立たないと思う。