生命 最初の30億年

カンブリア爆発といわれる、三葉虫などの様々な奇妙な生命が生まれたのは、今から約5億年前。この本は、それより以前の、40億年まえから5億年前の地球の生命の進化の様子について書いてあります。


最初の30億年の主役は、細菌や簡単な藻類です。シアノバクテリアといわれる、簡単な鞘を形成する細菌の化石を丹念に調べることで、当時の様子を推測したり、分子生物学や、地質学の知識と組み合わせて年代を推測する。


専門用語がでてきて、難しいところもありますが、少ない手がかりから、過去の生命を再現するところが、面白いです。


以下、内容のメモ

  • 最初の生命の痕跡と思われるものは、30億年前の化石に見られるが、本当に生命かどうかは議論が分かれる。同じようなものは、生命と関係ない物理的な反応によっても出来うるから。
  • 約22億年前に、地球が酸素がに満たされる大きな変化があった。それまでは、酸素を使って呼吸しない、嫌気性細菌、化学合成細菌が生命活動の主役だった。これらは、今も深海の熱水鉱床や、干潟、温泉などに生息している。
  • 真核生物の葉緑体や、リボゾームなどの細胞内器官は、もともとは別々の生物だったものが一体となって共生しているもの。
  • カンブリア期に複雑で多様な生命が一斉に生まれたのは、その前に全地球凍結による生命の大量絶滅があったことがきっかけになっているの。
  • 多様な生命が繁栄するためには、多様な変異を受け入れる余地がなければならない。大量絶滅によって、多くの生命が一掃され焼け野原のようになったおかげで、カンブリア期の奇妙な生き物たちが生きていける素地ができた。それは、恐竜が絶滅したあとに、哺乳類が様々に進化したことと同じ。
  • 古生物学の手法が、他の星に生命が存在したかどうかの検証に応用されている。


地球の歴史のなかの大部分では、生命は細菌でしかなかったことを思うと、自分が人間としてパソコンをたたいてこれを書いていることが奇跡のような気がしてきます。

生命 最初の30億年―地球に刻まれた進化の足跡

生命 最初の30億年―地球に刻まれた進化の足跡