漆 塗師物語

著者が雑誌編集者としての東京での生活をやめて、輪島塗の職人となるために輪島に引っ越してきてから、最初の個展を開くまでの物語。


輪島塗の職人さんに弟子入りして、仕事を1つずつ覚えていく過程がいきいきと綴られていて、読んでいて自分も修行しているような気分になりました。初めて漆にかぶれるところは、かなり壮絶です。


著者が輪島塗の世界に入るきっかけとなったのが、角緯三郎さんとの出会いでした。その角さんの「漆ってなんやろ」という問いが何度も出てきます。高い伝統技術を身につければ、表現の選択肢が増えるのでいいことなのですが、技術は道具にすぎない。どんなものを作りたいかが大事で、技術にこだわりすぎても人の心を惹くようなものはできないということのようです。

漆 塗師物語

漆 塗師物語